実写ドラマ『幽☆遊☆白書』最大の功績は? 稲垣吾郎演じるヴィラン・左京のカリスマ性
ドラマ版『幽☆遊☆白書』(以下『幽白』)が12月14日、Netflixで配信された。本作は週刊少年ジャンプ(集英社)で冨樫義博が1990年から94年にかけて連載された漫画をドラマ化したものだ。
主人公は不良少年の浦飯幽助。子供を庇い交通事故で命を落とした浦飯は生き返ることと引き換えに、霊界探偵として妖怪と戦うことになるのだが、ドラマ版は全19巻のコミックスから核となる要素を抽出した上で脚色を加えたオリジナルストーリーとなっている。
80〜90年代のジャンプ漫画は、序盤でキャラクターを魅力的に描き、人気を獲得するとバトル漫画にシフトし、かつての敵が味方となってチームを組んでトーナメントバトルに挑むことで大ヒット作に変わっていくという流れが多かった。
『幽白』も、その成功パターンを忠実になぞっていた。冒頭は幽霊になった浦飯が、悩みを抱えた人間の悩みを解決する霊界修行編が展開され、浦飯が生き返って以降は、浦飯が霊界探偵として、ケンカの腕前と霊能力を武器に悪事を働く妖怪と戦うようになる。
そして浦飯をライバル視する霊感の強い不良少年の桑原と妖怪の鞍馬と飛影が浦飯の仲間として共に戦うようになり、暗黒武術大会というチーム戦のトーナメントバトルで宿敵となる妖怪・戸愚呂兄弟との対決へと向かっていった。
人情漫画だった『幽白』が、人間界と霊界と魔界の命運をかけた壮絶なバトル漫画に変わっていく展開は、その場その場の盛り上がりを優先する連載漫画ならではのライブ感が色濃く現れていて面白かったが、原作の展開をそのままなぞると、話数がかかりすぎて物語のテンポが停滞すると同時に、キャラクターの描写にブレが生じてチグハグなものとなってしまう。
何より、Netflixのドラマは話数が短く、今回の『幽白』は全5話しかない。そのため、この短い話数の中に原作漫画のエッセンスを圧縮し、どれだけ注ぎこめるかが本作が挑んだ難題だったのだろうが、とてもうまく成功しているというのが正直な感想だ。
浦飯と師匠の玄海の関係を筆頭とする仲間同士の絆が深まっていく過程は、尺の都合でかなりショートカットされているものの、全体としては霊界修行編から暗黒武術大会編の1〜13巻のエピソードの肝となる部分をうまく抽出して綺麗にまとめ上げている。