『ろくでなしBLUES』森田まさのり、葛西が薬師寺を“秒殺”したシーンを後悔 バトル漫画における「強さのインフレ」を語る

森田まさのり『ろくブル』の秒殺シーンを後悔

 漫画家の森田まさのり氏が12月11日、自身のX(旧Twitter)を更新。代表作『ろくでなしBLUES』で読者に衝撃を与えたシーンについて、「なかったことにしたい」と語った。

 SNSで積極的な発信を続けている森田氏。『ろくでなしBLUES』以外にも『ROOKIES』や『べしゃり暮らし』など自身のヒット作に関して、作画やセリフのミスを中心にセルフツッコミを行う「なかったことにしたい」シリーズが人気を博している。基本的には笑える投稿だが、「反省」や「後悔」を伴う内容であるため、漫画家やそれを目指すクリエイターにとっては学びになることも多い。

 今回のポストで取り上げられたのは、「東京四天王」の一人・葛西が、同じく四天王に数えられる薬師寺をタイマンでねじ伏せたシーン。薬師寺は主人公の前田太尊と比較的近いスタンスで、功名心よりも仲間を大切にし、基本的に無益な争いはしないタイプだ。それでいて、空手をベースにした喧嘩スキルは非常に高く、“強くてかっこいい”キャラクターだったが、葛西になすすべなく敗れたことで、株を下げてしまった。

 このシーンに対して森田氏は、「後から出てきた奴の強さを表すために、かつての強敵を秒殺するという、バトル漫画のインフレという定め」としながら、「でも全く相手にならないこの感じはあかんやろ…」と悔恨。葛西の強さを印象付けるにしても、「今考えたら少し体調悪かったとか、ケガしてたとかインフレ回避のやりようはいくらでもあったな」と、改善の方法についても語った。

 ファンの反応を見ると、やはりこのシーンに衝撃を受けた人が多かったようだ。「鬼塚はまだ怪我が癒えてなかったということから格が落ちなかっただけに、この瞬間薬師寺が四天王最弱という風潮になってしまった…」「途中いったん場面が転換するので『薬師寺も、あの間にもう一発ぐらいは入れたんだろうな』とか、勝手に妄想しちゃってました」など、薬師寺を不憫に思うファンも少なくない。しかし「ここは逆に葛西の強さが際立って良かったと思いました」「鬼塚の初登場の怖さとは違った、圧巻の強さ。太尊の勝ち方が全く見えないのがワクワクでした」など、非情な作話に興奮した人も多く、意見が分かれていた。

 いずれにしても、人気作家が過去のヒット作について、こうした裏話を語ってくれるのは貴重なことだ。森田作品のファンも、漫画家を目指すクリエイターも、ぜひ「なかったことにしたい」シリーズをチェックしてみてはいかがだろう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる