占い本、なぜ人気? 年間BOOKランキング1位、累計1億冊超えも……秘訣は「リピート率の高さ」と「細分化」

占い本、なぜ人気? 

  占い本が売れに売れている。朝日新聞出版が刊行するゲッターズ飯田の占い本『ゲッターズ飯田の五星三心占い』シリーズは、ここ数年にわたってシリーズ累計800万部を突破。2021年、2022年は年間BOOKランキング作家別1位を獲得し、同社の主力となっている巨大コンテンツである。一連のヒットからゲッターズ飯田自身も、日本屈指のベストセラー作家の一員である。

  占い本のベストセラーといえば、一昔前ならワニブックスが刊行していた故・細木数子の六星占術の本を手にした人も多いのではないだろうか。現在は細木かおりが遺志を継いで刊行が続いているが、こちらもベストセラーになっている。

  こうした占い本は安定して販売実績をあげている。以前は出版業界関係者の間では「ワニブックスは細木数子で持っている」などと言われていた時期があったほどだ。なぜ、占い本は安定した売り上げが見込めるのだろうか。

  まずは、一人が複数冊買い求める傾向がある本が強いということだ。例えばゲッターズ飯田の五星三心占いでは、羅針盤座、インディアン座、鳳凰座、時計座、カメレオン座、イルカ座の6つのタイプに分類される。ゲッターズ飯田の本の場合は、それぞれのタイプごとに、しかもさらに細かく分類されて出版されている。細木数子の本も、金星人、水星人……といった具合にタイプが分類される。

  占い好きの人は自分のタイプはもちろん、友人のためにも本を買い求める傾向があるようだ。実際に記者の友人に贈り物として占い本を複数冊買っている女性にその理由を聞いてみた。

「占い本は、ギフトとしても喜ばれますね。特にゲッターズ飯田さんの本は、エンタメ性が高くて、解説が面白い。みんなでその場で盛り上がれるのも魅力なんです。特に女性は占いが好きですよね、プレゼントをして嫌がられたことは一度もありません。プレゼントした友人からは”今年は自分で買ったよ”とLINEで連絡がくるほどです」

  手相占いの本などは一度買い求めれば何年も買うことは少ないが、ゲッターズ飯田の本も、細木かおりの本も毎年刊行されている。すなわち、一度買った人は内容が気に入れば毎年買い求める傾向にあるため、出版社側にとってもある程度、来年の発行部数や売上が立てやすい強みがある。高島易断が編集する超ロングセラーの『開運家庭暦』も、毎年買い求める人が多い。

  占い本は、こうしたリピーターによって市場が支えられているといえる。もちろん、毎年買ってもらえるような内容を作る必要があるし、新しい読者の支持を得るために広告も定期的に売っていく必要こそあるが、出版社にとっては安定したドル箱コンテンツと言って間違いない。

  昨今の社会不安も、占い本の売上に繋がっているのかもしれない。長引いたコロナ禍、一向に上昇しない賃金、社会保障の問題などの社会不安は相変わらず続き、出口が見えない。こうした情勢で、人は何かにすがりたくなるものだ。そんなときに手軽に手に取れる占い本の存在意義は大きく、少しでも心を落ち着かせる効果があるのではないだろうか。占い本は迷える現代人に希望と指針を与えてくれる、かけがえのない存在なのである。

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