「日本チームの五輪出場が見たい」井上雄彦が歓喜 『SLAM DUNK』の単行本で書いていた夢が現実に

『SLAM DUNK』井上雄彦歓喜

 9月2日に開催されたバスケットボール男子ワールドカップ順位決定リーグで、日本はカボベルデを80―71で破り、来年に開催されるパリオリンピックの出場権を獲得した。2021年に開催された東京オリンピックでは開催国枠で出場したため、自力での出場が決まったのは1976年のモントリオールオリンピック以来となり、実に48年ぶりの快挙となった。

 この快挙にX(旧Twitter)ユーザーも反応している。なかでも、バスケ漫画の金字塔『SLAM DUNK』の単行本に記された、作者・井上雄彦のコメントが涙なしには読めないと話題になっている。

  単行本によれば、井上は『SLAM DUNK』の連載を始めた頃に思い描いていた夢があり、そのうち2つが叶ったという。1つは、「取材と称してNBAのファイナルをアメリカに見に行くこと」だった。そして、もう1つは「バルセロナ五輪を取材と称して生で見ること」だ。これらは『SLAM DUNK』の取材の一環で行くことができたようで、井上自身も感謝の言葉を述べている。

  そして、最後に挙げていた夢は「日本チームの五輪出場が見たい」であった。しかも、『SLAM DUNK』を読んでバスケを始めたという子どもたちが、大きくなって実現してくれたら・・・・・・とのことで、もしそれが実現したら「オレは泣くぞ」と語っている。そんな井上の夢は、約30年越しに叶ったのだ。

  ちなみに、これ以前にも井上は、1992年のバルセロナオリンピックについても言及している。このとき、日本チームはオリンピック出場権をとれなかったのだ。「アジアの王者・中国との差はもはや、ちょっとやそっとじゃ埋まらないものとなってしまったように見える」「このまま日本は二度と五輪に出場することはできないのか!?」「中国や韓国を破ってアジア代表の座を得ることはもはや不可能なのか!?」と、オリンピック出場の難しさ、他国の層の厚さを指摘している。

  だからこそ、余計に今回の日本代表のオリンピック出場は、特別なものに感じられたはずである。井上は試合終了後にXを更新。花火の動画と、日の丸とバスケットボールの絵文字を使って祝福していた。井上は感極まり、嬉しさのあまり号泣しているのではないだろうか。

 

 『SLAM DUNK』が日本のバスケに与えた影響は計り知れない。連載開始当時、まだまだ日本でのバスケは知名度も、競技人口も決して多くなかった。それが『SLAM DUNK』のヒットで爆発的に人気になり、今や中学校、高校の部活動の定番になった。『SLAM DUNK』も世代を超えて読み継がれ、バスケを題材にした漫画も多く発表されている。

  漫画をきっかけにスポーツを始めたというプロは多く、例えば、『キャプテン翼』を読んでサッカーを始め、Jリーガーに、そして日本代表に選ばれた選手は挙げだすときりがないほどだ。そして、『SLAM DUNK』も言うまでもなく、バスケ人口の増加に大きく貢献した名作だ。漫画は子どもたちの人生に大きな影響を与え続けていることがわかる。 バスケ日本代表はパリオリンピックでどんな活躍を見せてくれるだろうか。今から開催が待ち遠しい。そして、『SLAM DUNK』も、ぜひこの機会に読み返しておきたい漫画である。

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