ジブリ『コクリコ坂から』国宝級イケメン・風間俊 原作では超問題児だったのは本当?
原作ではアニメと大違いの性格だった風間俊
メル以上に性格が原作から激変しているのが、俊の方だ。原作の俊は肩に毛先が付くほどのロングヘアで、陽気かつお調子者の性格。そして品行方正とはほど遠い、学園イチの問題児だった。
原作でも俊は校舎から飛び降りるが、それは部室棟の取り壊しに抗議するためのパフォーマンスではない。学校新聞の売行きを伸ばすため、話題作りを目論んでいたのだ。
しかも必死に新聞を売ろうとしていた理由にも、かなり問題がある。生徒会長・水沼史郎と共に知り合いの女子大生との賭け麻雀に負け、学校の予算を使い込んでしまったため、何としてでもお金を稼ぐ必要があった…という背景だ。
さらには未成年にもかかわらずヤケ酒に走る場面や、学校内で喫煙し、ゴミ箱に捨てたタバコから火事になりかけるという出来事もあり、映画版の俊とは大違いだ。
といっても俊はたんなる悪童というわけではなく、性格は善良そのもの。好きな人を何より大切にしようとする誠実さを持ち合わせており、メルもそんな彼の内面に惹かれたのだった。
歴史ドラマとしての側面があるジブリ版『コクリコ坂から』とは違い、原作はラブストーリーに徹しており、多感な高校生たちの心の移り変わりが丁寧に描かれている。映画ではなぜ設定の変更が必要だったのか、あらためて考えながら鑑賞してみることをオススメしたい。