『THE FIRST SLAM DUNK』宮城リョータ役・仲村宗悟、名演の理由は? “ふたりの共通点”を考察

映画『SLAM DUNK』仲村宗悟の名演

 ロングランを続けているアニメーション映画『THE FIRST SLAM DUNK』。5月7日、湘北高校のスターティングメンバーを演じる声優の仲村宗悟(宮城リョータ役)、木村昴(桜木花道役)、神尾晋一郎(流川楓役)、笠間淳(三井寿役)、三宅健太(赤木剛憲役)が一堂に会し、同作の声優トークイベント上映会「COURT SIDE in THEATER」(ユナイテッド・シネマ豊洲)を行った。

 『THE FIRST SLAM DUNK』の声優陣については、テレビアニメ版からのキャストの一新と、その発表がチケット販売開始後だったことで議論を呼んだ経緯があったが、ふたを開けてみれば人間ドラマにフォーカスした本作のイメージにピタリと合い、公開後は不満の声もあまり聞かれなくなっていた。国内外での大ヒットを受け、『THE FIRST SLAM DUNK』はそれぞれの代表作のひとつになったと言えそうだ。

 なかでも本作の主人公と言っていい宮城リョータ役の仲村宗悟は、ヤンチャさのなかにナイーブさを漂わせる名演を見せた。ファンにはすでによく知られていることだが、仲村は26歳で声優デビューするまで音楽活動の傍、介護職などで生計を立てていた苦労人だ。ハスキーで明るい声質は、デビュー作となったゲーム『アイドルマスター SideM』の天道輝役に象徴されるように、ヒーロー感のある主人公にもよく合うが、『ブルーロック』の我牙丸吟のような朴訥さのある野生児もハマり役で、懐の広さを感じさせる。

 宮城リョータ役としての演技は、比較的ナチュラルなものに聴こえた。リョータと仲村の共通点は、ともに沖縄県出身であり、体はそれほど大きくないがエネルギーがあり、タレント性が高いことだろう。今回の映画ではシリアスな面がクローズアップされたリョータだが、ノリがよく実は空気が読めて、ちゃんと華があるキャラクターだ。その点で、ラジオやインターネット番組などで見せるバラエティ適性の高さが生きているように思える。

 また、リョータを象徴する「(スピードと)感性」というキーワードも、音楽やイラストなどのアートでも才能を見せる仲村本人のイメージに通じるところだ。彼の背景を考えても、宮城リョータ役はハマり役だと思える。

 ファンは仲村が演じる宮城リョータにまた会うことができるだろうか。続編の構想は今のところなさそうだが、これだけのヒットと評判を受けて、その可能性はゼロとは言えないだろう。願わくば、豊玉戦等でのイケイケな姿や、アメリカで奮闘する姿も見てみたいものだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる