『H×H』シャルナークから『進撃の巨人』ベルトルトまで……命懸けで頑張っているのに報われない少年漫画キャラ3選
ベルトルト(進撃の巨人)
さて、女性人気のあるキャラとしても名前のあがったベルトルト、再登場である。
超大型巨人であり、エレンの宿敵のはずの彼は、仲間であるライナーとアニの名前を叫びながら無残な死を遂げたのだが、周囲の登場人物たちはベルトルトの死に対して反応が薄かった。その直前に調査兵団団長のエルヴィンと準主役のアルミンが瀕死の状態で運ばれ、どちらに捕まえたベルトルトを食べさせて超大型巨人の能力を受け継がせるか、エレンたちが仲間うちで揉めていたことも影響しているのだろう。
そう思っていたのだが、ベルトルトの死後、登場人物たちがベルトルトを思い出す場面は極端に少なくなる。
敵であるエレン側だけではなく味方であるライナー側もそうだ。子どものころ、同期の戦士候補生としてベルトルトとともに過酷な練習に励んでいたポルコやピークですら彼のことを思い出す描写は皆無に等しい。
ベルトルトを食べて超大型巨人となり、彼の記憶も受け継いだアルミンがもっともベルトルトを思い出しているのではないだろうか。また、ライナーは心を病んでいて、ベルトルトの死をなるべく思い出さないようにしているふしがある。
ベルトルトが淡い恋心を抱いていたアニとアルミンが相思相愛になるという終盤の展開では、ベルトルトの哀れさが際立った。過去にアルミンは、嘘をついてアニに対するベルトルトの想いをあおり、彼を動揺させることで戦闘を有利な立場に変えたことがある。「そのアルミンがアニを好きになるとかひどくない?」と思った読者は私だけではないと信じたい。
エレンはアルミンのアニに対する恋心を見抜き、アルミンの中にベルトルトの記憶があるからではないかと指摘している。それが事実かどうかわからないまま、アルミンは突如としてアニと両想いになるのだ。
そしてまた、アニがベルトルトの片思いをまったく知らなかったこと、アルミンがアニにベルトルトの気持ちを打ち明ける気配がないことも同情を誘う。そもそもアニへの想いを煽って戦況を変えただけではなく、その後の戦いでベルトルトを陥れて死に至らせたのはアルミンなのだ。
この記事にあげた3人のなかでも、もっとも報われないキャラだと言えるだろう。
報われないキャラが示すもの
何を報われないとするかは非常に難しいところだが、この3人に共通していることは、時が経てばもっと強くなれるのではないかと読者が感じているところで、突如命を落としていることである。
クラピカはシャルナークを幻影旅団のメンバーのひとりとしか考えておらず、彼の身に起こったことをリアルタイムで認識していなかっただろうし、ニアはマットがメロに協力していたことを知っていたかどうか定かではない。またベルトルトは、死ぬ間際にライナーとアニの名前を呼び、アニに片思いしていたのにもかかわらず、アニは彼の死をそこまで重く受け止めていない。
こんな報われない死があるだろうかと、つい思ってしまう。