大ヒット電子コミック『きみを愛する気はない』三沢ケイ  会社員とのダブルワークで400万DL達成! ヒット原作の背景に迫る

2023年1月31日まで募集を行なっている「フレックスコミックス漫画原作大賞」では「きみ愛」のエルサとユリウスがイメージキャラクターとして採用されている。※漫画原作大賞の詳細はインタビューページの最後に記載しています。『「きみを愛する気はない」と言った次期公爵様がなぜか溺愛してきます』©水埜なつ ©三沢ケイ/フレックスコミックス


 「きみ愛」として知られる人気漫画『「きみを愛する気はない」と言った次期公爵様がなぜか溺愛してきます』(フレックスコミックス)の原作者である三沢ケイさん。会社勤めをしながら小説家としてデビューし、原作者としてもヒットを出す異色の人気作家だ。現在も会社員との二足の草鞋を履きながら、創作活動を続ける彼女はどうやって作品を生み出しているのか。そこには、総合電子書籍ストアを運営するBookLiveのマーケティングの分析を活用した取り組みも関係しているという。三沢ケイさんに創作スタイルやヒット原作を生み出す秘訣を聞いた。

――三沢さんが会社員から小説家としてデビューされた経緯を教えてください。

三沢ケイ(以下三沢):私は小説投稿サイトからのデビューなのですが、元々小説家になろうと思っていたわけではないんです。たまたまキミスイ(『君の膵臓を食べたい』)を読んだとき、すごくおもしろいなと思って。この人の話をもっと読んでみたいと調べていたら、小説投稿サイトに投稿された作品だと知ったんです。こんなおもしろい作品が投稿されたサイトはどんなサイトなんだろうと思って見にいったのが、のちにデビューした小説投稿サイトを訪れたきっかけでした。

 でも、想像していたのと全然違ったことが印象に残っています。文芸作品が多くあるのかと思ったら、ラノベの方が多くて。

――もともとはラノベとは縁がなかったんですか?

三沢:はい、そんなにラノベ作品は多く読んでこなかったです。けど投稿サイトのラノベを読んでみたら、すごくおもしろい世界観のお話だなと思って。まずは「読み専」としてハマっていきました。そうして1年くらい経ったときに、「自分でも書いてみたい」と一念発起したのが小説を書きはじめたきっかけでした。

――小説を書く前にこれまで読んできた作品の分析などはされていたんですか?

三沢:いえいえ、はじめは分析などはしてなくて。まずは自分の好きなように書いてみようと。最初の作品は、プロットもなしに突然書き始めたんです。でも、全然読んでもらえなくて。読者人気ランキングにあるコメントを読んでみると、ヒーローはやっぱりキラキラしてなければいけないのか……と反省したり。書きながら他の作品やトレンド分析をしていったという感じでしょうか。そんなことをしながらずっと好き勝手に書いていたのですが、2年くらい経った頃に「きみ愛」の現編集担当の方から声を掛けていただいたことがきっかけで、作家デビューすることになりました。

――三沢さんは、現在でも会社員とのダブルワークをしながら執筆作業をされています。普段のお仕事とご執筆はどのようなスケジュールで行っているのですか?

三沢:会社員の仕事はフルタイムなので、朝から働いて、17時半に退勤するんですね。で、私には3人の子どもがいるので、帰宅後も家事育児が待っています。一通り家事を終えた夜の21時くらいから深夜1時まで書くのが日々のスケジュールです。最近は執筆業が全然終わらなくなってきて、まずいと思っているのですが(苦笑)。

――ダブルワークのメリットとデメリットはどんなことがありますか?

三沢:会社員の仕事が執筆の気分転換になるところですかね。執筆中って、誰ともしゃべらないんです。会社で人とコミュニケーションをとることが気分転換になっているし、逆に会社でイラっとする出来事があっても執筆すると気持ちが切り替わります。両者がいい案配でお互いのストレス発散になっているんですよね。なので、私には兼業作家のほうが向いていると思っています。

 デメリットは、当然ながら専業作家さんに比べて、時間がない。それに、いつも眠いことですね(笑)。

――大変ですけれど、充実した日々を送っているのですね。ヒット作となった「きみ愛」は原作者として作品に携わっていますよね。どのようなプロセスで執筆されるようになったのですか。

三沢:担当編集さんから「漫画原作を作ってみませんか?」と誘っていただいたことがきっかけでした。それまで私はコミカライズを含めて、漫画原作のお仕事をまったくしたことがなくて。「私でいいんですか?」と思ったんですけど、「一緒にがんばりましょう」と言っていただけて心強かったです。はじめての担当編集者さんも同じ方なので、本当に今でもサポートしてくださっていて、おんぶにだっこ状態がずっと続いています(笑)。

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