浅田彰「これは驚きと発見に満ちた時代精神の天気図だ」 福嶋亮大著『書物というウイルス』先行発売スタート

福嶋亮大『書物というウイルス』発売へ

 批評家・福嶋亮大による新刊『書物というウイルス 21世紀思想の前線』(blueprint/10月12日発売)が、代官山蔦屋書店にて本日9月30日より先行発売されている。10月5日の19時からは同店にて、SF作家・樋口恭介との対談イベントが開催されることも決定しており、こちらのチケットもPeatixにて好評発売中だ。

 批評家の浅田彰は、本書の帯に「あらかじめ用意した理論体系に都合のいい例を当てはめるのではない。多種多様な書物を、各々の文脈を考慮して批評し、そのコラージュによって大きな構図を浮かび上がらせる。優れた批評家にしか描けない、これは驚きと発見に満ちた時代精神の天気図だ」と推薦文を寄せている。

 『書物というウイルス』は、ミシェル・ウエルベック『セロトニン』、マルクス・ガブリエル『新実存主義』、村上春樹『ドライブ・マイ・カー』、劉慈欣『三体』、スティーブン・ピンカー『21世紀の啓蒙』など、主にこの10年間に日本で刊行された文芸書および思想書を題材として、思考の《現在地》を描き出すことを目指した書評集だ。リアルサウンド ブックの連載『書物という名のウイルス』で発表した書評を中心に、新たに書き下ろした原稿も掲載される。

 筆者は本書にて「一冊の書物をグループ内の信号へと矮小化することなく、そこから潜在的な力を引き出すにはどうすればよいだろうか。本書はこの問題への私なりの応答として書かれている。思うに、書評とは、書物というウイルスの変異株を作成することに等しい。私は自らの作成した小さな変異株を一冊にファイルし、交差させ、ときにショートさせようとした。それは書物どうしを対話させること、つまり人間たちの部族主義から離脱して、むしろ本の生態系を組み立てることをめざすものである」と述べている。

 SF作家の樋口恭介を招いた対談イベント「書評が映し出すもの」は10月5日19時より代官山蔦屋書店にて開催。編著『異常論文』や書評・エッセイ集『すべて名もなき未来』で知られる樋口恭介は、本書をどのように読んだのか。注目の著者二人による初対談をお届けする。

■イベント情報


『書物というウイルス 21世紀思想の前線』刊行記念 
福嶋亮大×樋口恭介トークイベント「書評が映し出すもの」
【参加方法】
以下のいずれかのチケットの購入で参加可能。
〇【来店】イベント参加券1,500円(税込)
〇【来店】書籍『書物というウイルス 21世紀思想の前線』付きイベント参加券3,750円
『書物というウイルス』(2,750円税込/ブループリント)+イベント参加券1,000円(税込)
〇【オンライン】イベント参加券1,500円(税込)
〇【オンライン】書籍『書物というウイルス 21世紀思想の前線』付きイベント参加券4,250円
書籍(2,750円税込/ブループリント)+イベント参加券1,000円(税込) +送料500円(税込)
※書籍『書物というウイルス』は9月30日入荷予定。
チケットの購入はPeatixにて→https://peatix.com/event/3366167

■書籍情報
『書物というウイルス 21世紀思想の前線』
福嶋亮大 著
発売日:10月12日(代官山 蔦屋書店で9月30日より先行発売)
価格:2,750円(税込)
出版社:株式会社blueprint
購入はblueprint book storeにて

【目次】
はじめに─ トランジットの人間
小説の初心に回帰する─ ミシェル・ウエルベック『セロトニン』評
新時代の心の哲学?─ マルクス・ガブリエル『新実存主義』評
平成の「先ぶれ」と昭和の「最後の響き」─ 吉本ばなな『白河夜船』評
ひび割れた物語、とびきりの攻撃性─ 佐藤友哉『水没ピアノ』評
《妻》はどこにいるのか─ 村上春樹/濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』評
《勢》の時代のアモラルな美学─ 劉慈欣『三体』三部作評
インターネットはアートをどう変えるのか? ─ ボリス・グロイス『流れの中で』評
泡の中、泡の外 ─ カズオ・イシグロ『クララとお日さま』評
承認の政治から古典的リベラリズムへ─ フランシス・フクヤマ『アイデンティティ』『リベラリズムとその不満』評
メタバースを生んだアメリカの宗教的情熱─ ニール・スティーヴンスン『スノウ・クラッシュ』評
感覚の気候変動─ 古井由吉『われもまた天に』評
帰属の欲望に介入するアート─ ニコラ・ブリオー『ラディカント』評
共和主義者、儒教に出会う─ マイケル・サンデル他『サンデル教授、中国哲学に出会う』評
胎児という暗がり、妊娠というプロジェクト─ リュック・ボルタンスキー『胎児の条件』評
自己を環境に似せるミメーシス─ ヨーゼフ・ロート『ウクライナ・ロシア紀行』評
実証主義は必要だが十分ではない ─ スティーブン・ピンカー『21世紀の啓蒙』評
フローの時代の似顔絵─ 多和田葉子『地球にちりばめられて』+村田沙耶香『信仰』評
新しい老年のモデル─ デイヴィッド・ホックニー&マーティン・ゲイフォード『春はまた巡る』評
現代のうるおいのないホームレス状況─ 2022年上半期芥川賞候補作評
おわりに─ 書評的思考

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