『呪術廻戦』乙骨憂太の力は五条悟に匹敵する? 問われる「強者ゆえの傲慢さ」

 「週刊少年ジャンプ」で連載されている芥見下々の『呪術廻戦』(集英社)は、人間の負の感情から生まれた呪霊を祓う呪術師たちの物語。呪いの王・両面宿儺の力を宿した少年・虎杖悠仁が、宿儺の力を封印するために呪術高専に編入し、師匠の五条悟の指導の元で伏黒恵たち高専の仲間と共に呪霊を祓いながら成長していく姿が描かれている。

 本作は現在のジャンプを代表する看板作品で、最新刊となる20巻の発売で、電子書籍も含むコミックスのシリーズ累計発行部数は7000万部を突破。すでにテレビアニメの第2期が2023年に放送されることが決定。ティザービジュアルも先日公開され、盛り上がりをみせている。

 一方、本誌連載は「死滅回遊」編に入り、呪術師同士のバトルをド派手に見せる異能バトル漫画としての切れ味がどんどん鋭くなっている。特に今回の20巻は、『劇場版 呪術廻戦0』で大きくフィーチャーされた乙骨憂太の活躍が描かれており、劇場アニメから本作を知ったファンにとっても、0巻から本作に注目していた古くからのファンにとっても見応え抜群の一冊となっていた。

※以下、ネタバレあり。

  呪詛師・羂索によって獄門疆に閉じ込められた五条悟の封印を解き、伏黒恵の姉・津美紀を救出するため、呪術師の泳者(プレイヤー)が得点(ポイント)をかけて殺し合う「死滅回游」が行なわれている全国の結界(コロニー)へと向かう虎杖たち。

 虎杖と伏黒は東京第1結界に潜入。日車寛見と接触した虎杖は交渉の末、日車の所有する100点を用いて「泳者は他泳者に任意のポイントを譲渡することができる」という追加ルールを加えることに成功。

 一方、伏黒はレジィ率いる呪術師一味と衝突。多勢に襲われ苦戦する伏黒だったが、芸人の泳者・高羽史彦に助けられ、激闘の末、レジィを倒す。戦いで力尽きた伏黒は意識を失うが、そこに伏黒が探していた五条悟の封印を解く力を持つ「天使」と名乗る呪術師・来栖華が現れる。

 同じ頃、仙台では乙骨憂太が結界内に閉じ込められた人々を救助しながら、呪術師たちと戦っていた。仙台結界は、ドルゥヴ、石流龍、烏鷺亨子という三人の呪術師と蜚蠊(ゴキブリ)の呪霊・黒沐死がにらみ合う四つ巴状態だった。しかし、そこに乙骨が参戦しドルゥヴを倒したことで均衡が崩れる。

 避難民を襲う黒沐死を乙骨が倒したことをきっかけに石流と烏鷺は乙骨を攻撃。空間を「面」として捉えて歪める術式を持った烏鷺と、遠距離から「グラニテブラスト」という高エネルギー砲を放つことができる石流に圧倒される乙骨は、特級呪霊・リカを呼び出す。

 『呪術廻戦』本編では、虎杖との戦いでしか片鱗が見えなかった乙骨の戦闘能力だが、この20巻では、乙骨の圧倒的な力が描かれた。

 まず、これまで謎とされていたリカの正体。0巻では事故死した乙骨の幼馴染の少女・折本里香が特級呪霊と化した存在として描かれた“里香”だったが、折本里香が成仏したことで里香の存在も消えたように思えた。表記が「里香」から「リカ」へと変わったため、折本里香とは別の呪霊なのかとも思ったが、第178話で、折本里香の成仏後に残された「外付けの術式と呪力の備蓄」と説明された。リカの膨大な呪力と術式、相手の術式をコピーする「摸倣」の術式、そして自分と他人の傷を治せる「反転術式」を用いて乙骨は戦うのだが、その力は五条悟に匹敵すると行っても過言ではない。

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