天ぷらにサイエンスで迫る! 日本を代表する江戸前料理を解明

天ぷらのサイエンス本が刊行

 『天ぷらのサイエンス』(誠文堂新光社)。そんなタイトルの本が9月13日に刊行される。

 揚げる前の魚貝の下処理、選び方などの知識と技術から、油や揚げる際の温度変化等の科学的データまで、天ぷらにまつわる事柄をさまざまな角度から解説。

 タネに衣をつけて揚げるだけといったシンプルな工程であるものの、カラリと揚げるためには素材にほどこす下処理、小麦粉や衣のつけ方、ひとつの鍋で行う微妙な温度コントロールなど、天ぷらならではの技が詰まっている。そしてそこには、油を使った調理の科学的理論があるのだという。

 本書では天ぷらに使われる魚貝類および野菜類の旬、選び方、扱い方を詳細に紹介。また、揚げるという調理について詳細に解説しながら、実際に測定した油や天ぷらダネの温度変化にも言及する。

 むずかしくなりがちな科学的なデータも、カラーを多用した図表を使ったりするなど、美しいビジュアルとともにわかりやすく解説している。

 料理に科学の視点を導入した本書を読むことで、よりいっそう天ぷらの魅力を知ることができるはずだ。

目次抜粋

[序章]天ぷらの歴史
[第1章]天ぷらダネ
魚介類/野菜類/江戸前とは/天ぷらダネカレンダー
[第2章]道具
鍋/道具/片刃包丁
[第3章]下処理
鱚/穴子/目鯒/墨烏賊/障泥烏賊/〔技を見る〕薄皮をとり、繊維をとらえる/鮑/沙魚/銀宝/銀杏
[第4章]衣
小麦粉/卵と水/衣をつくる/衣の調整/〔技を見る〕衣の濃度やつけ方の意識/〔技を見る〕衣を扱う際の工夫
[第5章]油
揚げ油/ゴマ油/揚げ油のいろいろ/準備:天つゆ/準備:大根おろし/敷紙
[第6章]揚げる
揚げる/魚介の天ぷら/車海老/〔技を見る〕クルマエビの天ぷら2本の揚げ分け/〔技を見る〕混ぜる油の配合、「油の力」の調整、揚げ玉で温度をコントロール/鱚/墨烏賊/障泥烏賊/穴子/白魚/鱈白子/河豚白子/稚鮎/岩牡蠣/鱧/沙魚/銀宝/目鯒/雲丹/鮑/野菜の天ぷら/銀杏/万願寺唐辛子/薩摩芋/南瓜/アスパラガス/モロッコ隠元/茄子/ペコロス/蓮根/谷中生姜/山菜・松茸を揚げる/蕗の薹/山独活/こごみ/松茸/舞茸/天ぷらの動作
[第7章]かき揚げ
貝柱/〔技を見る〕天ぷらの表と裏/芝海老/締めのごはん/定食/天丼/天茶/油の処理

Science
鍋と道具…材質・鍋の厚みと形状・粉箸/魚介の筋肉…魚の筋肉・エビの筋肉・イカの筋肉/魚介を揚げたときの変化/小麦粉…日本の小麦粉の種類・グルテンとは・天ぷら衣とグルテン/油…油とは?・油の風味/揚げる…揚げるとは、水と油の交代現象・揚げる過程における熱の伝わり、油の劣化とは?・油の発煙点/江戸前の魚…江戸前の魚の筋肉・ホロホロした食感の秘密/サツマイモを揚げる

著者プロフィール

■技術指導:中川 崇(なかがわ・たかし)
1968年生まれ。幼少から料理人をめざし、1987年日本橋茅場町「てんぷらみかわ」にて17年間修業。2004年築地に「天麩羅なかがわ」を開業。

■文:佐藤 秀美(さとう・ひでみ)
横浜国立大学卒業後、企業で調理機器の研究開発に従事。その後、お茶の水女子大学大学院修士・博士課程を修了。学術博士。専門は食物学。放送大学などで教鞭をとる。研究者と主婦の目線で料理や栄養を研究。著書に『おいしさをつくる熱の科学』(柴田書店)、『おいしい料理が科学でわかる 日本型健康食のすすめ』(講談社)、監修に『すしのサイエンス』(誠文堂新光社)など多数。

■文:土田 美登世(つちだ・みとせ)
プロの料理人や生産者の取材を中心に、フードサイエンスから居酒屋、三ツ星レストランに至るまで幅広いテーマで取材、執筆を行う。著書に『やきとりと日本人』(光文社新書)、『日本イタリア料理事始め 堀川春子の90年』(小学館)、『すしのサイエンス』(誠文堂新光社)、編書に『鮨―美・職・技』(グラフィック社)など多数。生活科学博士(お茶の水女子大学)

書籍概要

書 名:天ぷらのサイエンス
技術指導:中川 崇
著 者:佐藤 秀美、土田 美登世
仕 様:B5変判、224ページ
定 価:4,840円(税込)
発売日:2022年9月13日(火)
誠文堂新光社 書籍紹介ページ:https://www.seibundo-shinkosha.net/book/cooking/73611/

 

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