【ONE PIECE考察】『RED』で判明したシャンクスの新事実とは? ワンピース研究家が解説

※本記事には『ONE PIECE FILM RED』のネタバレを含みます

 劇場版「ONE PIECEシリーズ」最新作となる『ONE PIECE FILM RED』が、2022年8月6日に遂に公開された。公開前からシャンクスの登場が示唆されたPVや、歌手のAdoを起用することの発表により、話題を独り占めしていた本作。

 実際の物語も、原作ファンにとっては一瞬たりとも見逃せない展開の連続だった。そこで今回は「RED」の見どころや原作にも繋がる新事実について、ワンピース研究家の神木健児氏に話を聞いた。

「『RED』は公開10日で興行収入70億円を突破し、すでに歴代のワンピース映画でトップの記録となりました。またこのままの勢いで興収100億円を越えれば、配給会社である東映で歴代No. 1の大ヒット作となります。私個人の感想としては、見応えも感動も新鮮さも満足度が非常に高い映画だと思いました。ワンピースのワクワクと映画でしか体感できない魅力をずっと浴びる感覚で、あっという間にエンドロールを迎えた方も多いかと思います。また、シャンクスがしっかりと描かれていたことが嬉しかったです。たしかにPVでは、シャンクスの登場が示唆されていました。でもあくまでシャンクスが鍵を握っているだけで、登場自体はほんの少しだと予想していたんです。

 ところが、実際に鑑賞するとしっかりとシャンクスたちの戦闘シーンも描かれていて、原作ファンとしては新たにわかった事実も多かったです。シャンクスたちの具体的な戦い方も描かれていましたし、その血筋に関しても匂わされていました。そしてウタとの関わりで、我々が知らない過去も明かされています。シャンクスは第1話で登場する重要なキャラクターで、『ONE PIECE』を知っていて彼を知らない人はいません。そう考えるとライトなファンも楽しめますし、じっくり読み込んでいるファンも楽しめる本作は、原作を漫画とする劇場版の正解を叩き出したと言えるのではないでしょうか」

 「RED」1番の見どころは、原作の本線にも関係する“ある場面”だと神木氏は続ける。

「1番の見どころをあげるとすると、やはりルフィとシャンクスの共闘シーンですね。ルフィとシャンクスの関わり方が、ファンのことをすごく考えてくれている演出だと思いました。現実の世界と夢の世界での戦いをシンクロさせるというやり方で、再会している訳じゃないけど対面している、同じ場所で一緒に戦っている訳じゃないけど共闘しているという絶妙なラインを描きました。やはり読者としては、しっかりとした再会は原作で果たして欲しいと思っている人も多いでしょう。しかし、シャンクスを登場させた以上、何の関わりもないと物足りない。そういったファンニーズに応えつつ、演出と設定で誰もが納得できるところに落とし込んでいるところに感心しました。ラストのそれぞれの海に出港するシーンもシャンクスとルフィの距離感が絶妙で最高にアツかったです。

 また本作はラスボスというか、“悪い奴”が登場しないのも新しかったですよね。歴代の映画は『伝説のじいさん』的な悪役が登場して、ルフィたちが真正面から戦うのが王道パターンでした。でも今回は悪者がいなくて、『伝説のじいさん』も本当に最後まで登場しません。一応ラスボス扱いとなった『トットムジカ』は、原作に登場したら世界観が崩れそうで結構反感を買う設定だと思います。楽譜から誕生する魔王は少しファンタジー色が強いですからね。でも映画であれば、まったく違和感がありませんでした。その辺も映画ならではの試みで、非常に面白かったです。あとはヤソップとウソップの共鳴や、ヘルメッポのSWORD入りなどの細かな新設定も散りばめられていて、本当に見どころだらけの内容でした」

 原作でも数回しか登場していないシャンクスが、作品の核を担った「RED」。作中には原作に繋がる重要な新事実も描かれた。

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