宮内庁 ホームページ大改修、皇居で謎解きイベントも……カジュアル化続く広報戦略を辛酸なめ子に聞く

宮内庁、発信強化のわけ

近年、宮内庁が若年層に向けた発信を強化している。昨年4月1日からInstagramの運用を開始し、皇室の活動に関する写真を投稿。また今月15日には、宮内庁のホームページを大規模リニューアルをしていたり、来月3月18日からは、伊沢拓司が率いるクイズ集団・QuizKnockとコラボした「謎解きイベント」を皇居東御苑にて開催する。なぜ宮内庁は若年層に向けた情報発信に注力しているのだろうか。『皇室へのソボクなギモン』など皇室関連の書籍もあるコラムニストで皇室ウォッチャーの辛酸なめこ氏に話を聞いた。

Instagramフォロワーが190万人に

 宮内庁のホームページの大規模改修は2010年以来となる15年ぶり。トップページに掲載する写真を大きくするなど視認性を向上させたほか、皇居・宮殿の内部をHP上で360°のパノラマ写真が見られる新コンテンツを追加。これまで一般には公開されていなかった皇居・宮殿内の5つの部屋が閲覧できるように改修された。

 辛酸氏は「改修前までは簡素な文字リンクが羅列されていて、文字コンテンツがメインでした。それがむしろ神秘的であり、皇室の格調の高さが感じられました。今回の改修ではスマートフォンの表示にも最適化され、時代が一気に進んだという印象ですね」と語る。

 なぜ15年ぶりに大規模改修が実施されたのだろうか。

「皇室に関心を持っている方は中高年層が中心で、若い世代にも皇室に伝わる文化に関心を持ってもらうことが狙いとしてあったと思います。それまでは情報発信に慎重だったように思えますが、昨年4月から開設したインスタグラムの公式アカウントが好評だったことも大きい。開設前から大きな話題となり、現在(2025年2月19日時点)ではフォロワー数が190万人を超えたことで、インターネットでの影響力の強さを改めて認識されたのだと思います」

今後の展開は?

  他国では、イギリスのロイヤルファミリーのようにYouTubeチャンネルやXで情報を発信している例もある。今後、宮内庁でも同じような動きはあるのだろうか。

「宮内庁がYouTubeやXのアカウントを開設することは、今のところ考えられません。Instagramはポジティブな反応が表れやすく、ネガティブな反応は見えづらいSNSですが、YouTubeはBAD評価やコメント欄もあり、X(旧Twitter)もネガティブな意見が目立ちやすい。過去には秋篠宮様がインターネット上でのバッシングに心を痛められていることをお話しされていたので、宮内庁は心理的負担のリスクが生まれる可能性を減らしたいように感じます」

  実際に宮内庁のInstagramのアカウントを見てみると、コメント欄は閉鎖されており、宮内庁への意見はホームページで受けつけているという。

▪️QuizKnockとコラボイベントも開催

  これらの情報発信に加えて、3月にはYouTube登録者数240万人を超え、クイズ本も多数出版している知識集団・QuizKnockとのコラボイベント「皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnock」が開催される。このイベントでは、皇居東御苑を散策しながら苑内の謎解きパネルを探し出し、スマートフォンで問題を読み取って解き進めていくゲーム企画で、開催期間は2025年3月18日から2027年3月31日の約2年間にわたる。このようなイベントも、過去には見られなかった動きだ。

 「過去には、天皇皇后両陛下がお乗りになった馬車を公開するイベントなどはありましたが、これほどまでにライトなイベントが開催されることはありませんでした」

 応募方法においても、若い世代が参加しやすくなる工夫が見えるという。

 「以前までは宮内庁が募集するイベントの応募方法には、往復はがきが指定されていたのですが、今回の謎解きイベントはWEBで応募が完結します。やはり若い世代にとってはハガキを書くことも馴染みがないでしょうし、そういった点からも若い世代への関心を持ってもらうことを意識していると感じます」

  こうした取り組みからは、宮内庁がこれまでの伝統を守りつつも、時代の変化に対応し、より多くの人々に皇室の魅力を伝えようとしている姿勢がうかがえる。特に、若年層に向けた発信の強化は、皇室文化の継承という観点でも重要な意味を持つだろう。今後、どのような形で皇室と社会の接点が広がっていくのか、その動向に注目したい。

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