本から生まれる運命的な出会いを 夏の静かな交流イベント「もくもく読書フェス」ホテルで開催

もくもく読書フェスレポート

 「本×マッチング」のユニークなウェブサービスを提供している「チャプターズ書店」。今年6月にサービス1周年を迎え、それを記念した初のリアルイベント「もくもく読書フェス」が8月5・6日に開催された。合計で200人を超える人が来場し、静かに盛り上がったイベントの様子をレポートする。(藤井みさ)

本に囲まれた空間で、本に没入


 会場となったのは、東京・港区の「芝パークホテル」。70年の歴史を持つ老舗ホテルだが、21年秋に1,500冊の書籍をもつ「ライブラリーホテル」としてリニューアルした。

 今回のフェスは、チャプターズ書店のサービスに加入していれば誰でも参加でき、しかも料金は無料。参加者はまず、本棚がぐるりと囲む回廊を上がり、2階へ。受付で8月の選書の中から1冊を選び、好きな場所に腰を落ち着けて本を読む。シャンパンなどアルコール類を含むワンドリンクもついており、一人でもくもくと読書に没入してもよし、気になる人に話しかけてもよし。参加者はそれぞれがおもいおもいの時間を過ごしていた。

8月のテーマの本を選ぶ

 「チャプターズ書店」を運営する株式会社MISSION ROMANTIC代表の森本萌乃さんは、「とにかく、使ってくれる方に感謝を伝えたい」との思いから今回のもくもく読書フェスを企画した。現状1500人程度の会員に対して、2日間で200人以上の会員が参加を表明したことに「すごく熱狂度の高いサービスになったんだなと思って、本当にありがたいです」と感慨深げに口にした。

株式会社MISSION ROMANTIC代表の森本萌乃さん

 オンラインで出会いの場を提供している「チャプターズ書店」だが、やはり最終的に人と人の出会いはリアルで、という気持ちが森本さんの中にずっとあった。昨年のクリスマスのタイミングで芝パークホテルが本を積み上げて、ツリーにしている写真をSNSにアップしているのを見た。

「すごい素敵だな、いつか行きたいなと思っていて。それで今回イベントをやるんだったら、読書って空間ありきなので素敵な場所がいいなと思い、連絡させていただいたんです」。正直なところ「ダメもと」のオファーだったが、「是非一緒にやりましょう」との言葉をもらい、さらに場所を借りるというだけではなく、チャプターズ書店と芝パークホテルの共同開催という形になったという。

ドリンクを片手に読書を楽しめる

 

「感謝を伝えたい」から開催したフェス

 森本さん自身、ほとんどの参加者とリアルでは初対面。「本当に素敵な方が多いです」と笑顔で話した。参加者からは「自分と似た雰囲気の人が多い感じがしてすごくうれしかった」という声ももらったという。

「もちろん、人との出会いを期待して来てくださってる方もいらっしゃると思うんですけど、『婚活パーティー』みたいには絶対にしたくなくて。私も婚活パーティーだったら、絶対に行きたくないので(笑)。同じ本を読んでいる同士から、なんとなくいい人がいたらいいな、ぐらいの感覚で来てくれたらなと思っています」

もくもくと読書するのもよし、会話するのもよし。過ごし方は自由だ

 「余白」のあるイベントにしたいという方針で、運営側からなにか働きかけることはしない。あくまで参加者の自由な気持ちに任せて楽しんでほしい、というスタイルでの開催となった。

「会員番号を見ると、(最初期に登録した)200番台や300番台の方も来てくださってて、本当に前からサービスを使ってくださってる方もいるんだなって思って、感動しちゃいます。サービスを始めてすぐの頃は、システムが整っていなくてビデオチャットが作動しないなど、お客様にご迷惑ばかりかけていたんですけど、その頃から継続してくださる方がいるなんて。本当にみなさんにお礼を伝えたいです」

新たな「目的地」としてのライブラリーホテル

 芝パークホテルの広報を担当している早乙女恵美さんは、4月に「読書フェスを開催したい」という問い合わせをもらった時に「ぜひやりたい」と感じたそうだ。昨年の秋にライブラリーホテルとしてリニューアルしたばかりで、どうやって広めていこうかと考えていた。「本好きの人が集まるイベント」は、この空間を知ってもらえるきっかけになると考えた。

普段は宿泊者とレストラン利用者がこのラウンジを利用できる

 もともと1948年創業の老舗ホテル。浜松町・大門駅近くという立地柄、海外からの観光客が多く、それまでは「このホテルを拠点にして東京観光をしてほしい」という案内をしていた。それがコロナ禍でインバウンド需要が消失したのをきっかけに、「このホテルを目的にきてほしい」とライブラリーホテルとしてリニューアルをした。チャプターズ書店とのコラボについては「今までのお客様は比較的年齢層の高い方が多かったので、こうして若い方がたくさん来てくださって、新しくこのホテルを知ってくださった方ばかりで、本当にうれしいです」と話した。

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