本から生まれる運命的な出会いを 夏の静かな交流イベント「もくもく読書フェス」ホテルで開催
会場一番乗りの女性は「運命的な出会い」も
取材したのは初日5日の回だったが、この日一番乗りで会場に来た50代の女性に話を聞いた。森本さんがテレビ番組『セブンルール』に出ているのを見て「チャプターズ書店」を知り、5月に入会した。
「本好きの人しか来ないこの場所で、男女問わずお話をしてみたいなと思って参加しました」。ここで本を読んでいた女性に話しかけたら、本当に偶然だが、2人とも原田マハさんの小説『リボルバー』を最近読み終わったということがわかった。「チャプターズ書店」から送られてきた本とはまた別だ。そこで話が盛り上がり、本の内容からの連想で「2人で美術館に行こう」と意気投合までしたという。「本を通じての出会いですね」と笑顔で話した。
30代女性はチャプターズ書店について「自分だと選ばない本を読めるのがいいですよね」と話す。本に囲まれた空間で、ゆったりと読書の時間を堪能できたという。隣り合った女性と話が盛り上がり、連絡先を交換していた。
座り心地の良さそうな椅子で話していた20代女性と30代男性も、「今日初めて会った」という。女性は6月に「チャプターズ書店」に入会したばかり。「まだ届いた本を読むので必死ですね」と笑う。一方、男性は昨年の10月から利用している、歴が長めの会員。どんなふうに「チャプターズ書店」を活用しているかを女性に共有していた。
入会のきっかけは「本が好き」ということもあったが、森本さんのインタビュー記事を読み、スタートアップに興味がある、というビジネス的観点から入会してみたのだという。「まずサービスの切り口がすごくいいなって思いました。森本さんが挑戦している姿にもすごく励まされています」。今回、森本さんとも写真を撮ったと見せてくれた。
「あとはやっぱり、送られてくる本が面白いですよね。本屋さんに行っても、自分ではどうしても好きなジャンルのところにだけ行ってしまうので、いいきっかけになっているなと思います」
全員が「本好き」だから話せることもある
「チャプターズ書店」の前身ともいえる「ミッションロマンチック」の時から利用しているという古参ユーザーでもある30代女性の話も聞けた。「ミッションロマンチック」はコロナ禍以前、リアルのマッチングを考えて森本さんが試験的に運営していたサービスだ。
「今回、コロナ禍以降リアルで初めてチャプターズ書店のイベントがあって、これぐらいの年齢の人がいるんだとか、こういう感じの人たちがチャプターズ書店を好きなんだ、とわかっていい機会でした。話しかけてくれる人もいるんですが、みんな『本が好き』という前提があるので、いきなり『海外文学が好き』という話もできて、すごく斬新でした」
リアルの場では、ともすると「本が好き」というと「インテリだ」などと言われたり、マウンティングに見られたりすることもある。そういった先入観なく、純粋に本好きの交流の場があることがうれしいとのこと。「でも、1,500人以上がサービスを利用していると聞いて、1冊の本の上で手が触れ合うことなんて、本当に奇跡なんだなって改めて感じました」
本好きだけが集まる優しい空間。森本さんが実現したいと考えている雰囲気がたしかに現れていると感じられるイベントだった。