本から出会いが生まれる、読書マッチングアプリとは? チャプターズ書店・森本萌乃に聞く“ロマンチックな選書”

読書マッチングアプリ・チャプターズ書店

 読書サブスク・マッチングのウェブサービスを提供するチャプターズ書店(以下、チャプターズ)。月額1980円で毎月1冊の本が届き、同じ本を読んだ人とマッチング後に20分のビデオチャットができる。チャット後に両者が合意すれば連絡先を交換できるというユニークなサービスだ。 

 チャプターズの書店主は、株式会社MISSION ROMANTIC代表の森本萌乃さん(32)。「ロマンチックであるか」を行動する上で大切にしているという森本さんに、このサービスをはじめた経緯と目的、本の持つ可能性について聞いた。(藤井みさ) 

『耳をすませば』みたいな出会いをつくりたかった 

 「書店や図書館の本棚で、手と手が重なるような出会い方を意識しています」と話す森本さん。20代後半の頃にジブリ映画『耳をすませば』のヒロイン・雫と聖司の出会いのシーンに感動し、「こんなロマンチックな出会いを作りたい」と思ったのがきっかけになった。 

 当時は新卒入社した広告代理店の同期、およそ100人にテストの協力を呼びかけた。ご飯にまつわる本を読んでもらい、日程を調整し、一緒にご飯を食べながら本について語り合う。「はじめは全部エクセルで管理して、手動で調整して私がご飯屋さんに予約を入れたりと、全部アナログでした」と笑う。 

 そこから自らの貯金を使い、会社員でありながら起業してサービス化。3回ほどリアルのマッチングイベントを開催し、ウェイティングリストには1200人もが連なるほどになった。 


 その間、広告代理店からスタートアップ企業2社への転職を経験した森本さん。本当は会社に勤めながら、自らのサービスを副業として育てていこうと考えていた。しかし新型コロナウイルスの影響により、20年に当時勤めていた会社を解雇されてしまった。 

「こんなに働き盛りなのに、クビになるんだ! と思って。逆に面白くなってきちゃって、何やっても同じなんだったらやりたいことをやろう! って思えたんです」 

 そこから現状のサービスの土台をつくりあげた。オンラインにリニューアルし、名前もチャプターズに変更。毎月テーマに沿って4冊を選書し、本のタイトルを伏せて簡単なストーリーラインだけを紹介してユーザーに1冊を選んでもらう。同じ本を読んだユーザー同士がシステムに日程を入力し、日程の合った2人または3人で「アペロ」と呼ばれるビデオ通話で20分話す。気が合えば連絡先を交換し、その後実際に会ったりするユーザーもいるという。先日は、カップルになった男女双方から「いい人に出会えました」という嬉しい報告も受けた。

徹底的に本を読み、“会心のおすすめ”を選書する

 現状のユーザーの平均年齢は29歳で、独身が96%を占める。本を月に1冊しか読まない、または1冊も読まないという「読書ライトユーザー」向けのサービスになっている。 

 森本さんはいま32歳だが、20代の頃はずっと彼氏がいなかった。「その時に自分が使いたかったようなサービスを形にしている感じです」というが、ユーザー像とは異なり、本は常に身近な存在だった。 

 特に広告代理店にいた24~5歳の頃、有能な同期に囲まれ企画を必死に考えていた時に、「物語」と企画を合わせたらどうかと思いつき、それからいっそう本を読むようになったと話す。「イベントから帰る時に、あのホラー小説のラストシーンのような気持ちになるように」などフィクションを織り交ぜて企画を考える癖がついたという。 

 毎月4冊の選書だが、これを選ぶのにはとにかく時間をかけている。本の条件はユーザーに送付してポストに入るよう、文庫本で厚さ2センチ以内のもの。テーマはたとえば季節の変わり目だったら、旬の花の匂いを感じさせるような本。まずはテーマを決めたら検索し、とにかく片っ端からたくさんの本を読み、「土台」を作ってからさらに他の意見も聞いて本を選んでいく。森本さんだけの考えで本を決めることはない。 

「1人でやると、『私の本棚』になってしまうなと。『素敵な本と出会うタイミングを与える』サービスなので、出版社さん、書店員さん、うちのスタッフなど、なるべく2人以上が『いいよね』と意見が合った中から選ぶようにしてます」 

 時には4冊の本を選ぶのに、半年かけることもある。毎月「これ以上ない」と自信をもってセレクトした本を送り出している。



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