大人になって読む『セーラームーン』の素晴らしさ 短編「かぐや姫の恋人」を再読して
女の子のロマンス――人間に恋をしたルナ
一方、ルナは心根の優しい翔に惹かれていく。しかしルナはネコであり、翔には姫子という女性がいる。一晩だけルナはセーラームーンの力を借りて、少女の身体を手に入れ、翔とともに宇宙へ行く。
このまま二人で どこかへ
消えて しまおうかと 思った――でも あなたは 生きなければ だめ
あなたの ほんとうの かぐや姫が
宇宙から やがて地球へ 帰って きたときに
家の 明かりをつけて
でむかえて あげなきゃそして また
あなたの夢だった
この美しい宇宙へ くるために月に あたしが いるかどうか
見にきて
ルナの恋は確かにそこにあった。誰にも否定できるものではない。ルナはこの恋を通して「人間的」に成長した。
大人になって読む「セーラームーン」
『美少女戦士セーラームーン』は講談社のマンガ雑誌「なかよし」で連載されていた小学生向けのマンガだ。筆者も小学生のころ『セーラームーン』の連載を毎回楽しみに「なかよし」を買っていた。時は過ぎて、もう成熟した大人になった筆者だが、「セーラームーン」はいまだ手放せないマンガの一つだ。様々な困難、それは女性が女性であるがゆえに起こるもの、が私を襲ってきた。そのたびに少ないおこずかいで「なかよし」を買って、将来「カッコいい中学生になるの」と思っていたことを思い出す。
セーラー戦士たちほど誇り高い日々は送れないが、それでも自分だけの夢をいまだ見続けている。女の子のロマンとロマンスを体現した『美少女戦士セーラームーン』。大人になってもまだまだ勇気づけられ、大切なことを教えてくれる稀有なマンガだ。