『ダンダダン』ラブコメとしての面白さとは? ギャル×オタクのドタバタ恋愛バトルの魅力

ラブコメとしての『ダンダダン』

追加キャラは恋敵たち

『ダンダダン(3)』

 そして、物語が進むにつれて恋愛模様も複雑になっていく。具体的には、モモとオカルンに加えて、モモの恋敵的なポジションに白鳥愛羅(以下あいら)が登場。ギャルのモモに対して、表向きは清楚で好感度の高い美少女のあいらだが、実は腹黒いというギャップを持っており、さらに、そんな美少女がオカルンの「タマ」を拾ってしまうという展開もラブコメ的なドタバタ感が漂う。

 2人の関係から三角関係となり、恋愛模様が立体的になってくると、今度は勘違いから生じる嫉妬エピソードなども盛り込まれるようになっていく。モモに頼られる男になろうと筋トレしていたオカルンとあいらが鉢合わせて、偶然押し倒してしまったようになった瞬間を、モモに見られるというベタな展開は、いかにもラブコメである。

 モモの恋敵登場の次は、オカルンにとってのライバルキャラの追加が続く。モモの幼馴染の円城寺仁(以下ジジ)は、高いコミュ力を持った性格の良いイケメンだ。オタクのオカルンからすると引け目を感じるタイプのキャラクターであるが、オカルンともフランクに接してくれる、本当に良い奴で、自分に取りつき悩ます霊的な存在すら助けようとする。

 現在の展開では、この4人はジジに宿る存在の脅威に対応するため、一つ屋根の下で暮らしている。男女4人の高校生が同じ家で暮らして何も起きないはずがないだろう。これからもラブコメ的な騒動の中で物語が展開されていくことが期待される。

 本作は、能力バトルものであるが、登場人物たちは身近な誰かのことを行動動機にしている。交友関係もほとんど、高校のクラスメイトにとどまっている点でも、人間関係はラブコメ漫画のスケール感で展開しているにもかかわらず、龍幸伸氏の驚異的な画力と奇抜なオカルトの発想によってビッグスケールの作品になっている。この相反するような内容が衝突せずにスムーズに融合している点が、本作を読みやすくしている点の一つと言えるのではないだろうか。等身大のラブコメ的なキャラクターが織りなす壮絶な異能力バトル。ありそうでなかった組み合わせだ。

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