『からかい上手の高木さん』から『恋は光』まで、6月に公開されるマンガ原作の映画をチェック
6月3日に映画『極主夫道 ザ・シネマ』が公開された。原作は「くらげパンチ」で連載中のマンガ『極主夫道』で、累計発行部数が500万部を超えている作品だ。ドラマ化やアニメ化も果たしており、満を持して劇場版が公開された。
同作をはじめ、この6月の公開作品には、マンガ原作の注目作が多い。本稿ではその一部を紹介したい。
『からかい上手の高木さん』
「ゲッサン」(小学館)で連載中の『からかい上手の高木さん』は、2021年に第66回小学館漫画賞(少年向け部門)に選ばれた作品だ。シリーズ累計発行部数は1000万部を突破しており、3期にも渡るアニメ化を経て6月10日より劇場版の公開が予定されている。
本作で描かれるのは中学生の男子生徒・西片と同級生である女子生徒・高木さんの日常的なやりとりの数々。作品名どおり、からかうことの上手な高木さんに翻弄され悔しさをにじませながら、どうにかして彼女に一矢を報いようと奮闘する西片から健気さや可愛らしさを感じる。そして平静を装いつつ西片を異性として意識しているかにも思える高木さんの姿も描かれており、少し鈍感な西片との関係に想像を膨らませてしまうのだ。
スピンオフ作品として西片と高木さんの未来が描かれる『からかい上手の(元)高木さん』、西片たちと同級生の視点で物語が展開する『恋に恋するユカリちゃん』も発表されており、様々な切り口で作品の世界を堪能できることも本作の魅力であろう。劇場版ではどのような切り口で作品の世界、西片と高木さんの姿や関係が見えるのだろうか。
『メタモルフォーゼの縁側』
2019年『このマンガがすごい!(オンナ編)』1位を受賞、同年に第22回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で新人賞に選ばれた『メタモルフォーゼの縁側』。2020年に「コミックNewtype」での連載は終了しているが、6月17日に劇場版の公開が予定されている。
夫を亡くしひとりで暮らす75歳の老婦人・雪と、書店でアルバイトをする女子高校生・うらら。ふたりはボーイズ・ラブを描いた漫画を通じて意気投合し、交流を深めていく。共通の趣味によって雪とうららの関係、そして自身の価値観が少しずつ変化していく様子が描かれる。
1巻「第1話」の雪とうららの出会いが描かれるものの、ふたりは書店員とお客さんとしての立場として必要最低限の会話しか行わない。ボーイズ・ラブを描いた漫画が好きである事を知り、ふたりが意気投合するのはずっと先のエピソードとなる。ふたりの関係などが少しずつ、まるで縁側で過ごす時間のようにゆっくりと変化していく過程が本作の魅力として挙げられるだろう。
映画『メタモルフォーゼの縁側』では女子高生・うららを芦田愛菜が演じる。原作に流れる時間をどんな風に表現し、周りから見ると暗い印象のあるうららをどのように演じるかといった点にも注目したい。