パリピな孔明、総理大臣信長、おにいさんのブッダにキリスト……今の日本に降臨してほしい偉人は誰?
孔明が音楽業界に革命を起こし、織田信長が政治を変えるなら、ブッダやイエス・キリストは現代の日本で何をするのか。世界を愛と幸福で満たそうとするのかというと、東京の立川にあるアパートでゴロゴロとしているだけというから肩すかしをくらう。中村光の漫画『聖☆おにいさん』の話だ。
転生ではなく、世紀末を無事に乗り越えられたご褒美として、バカンスに入ったというのが降臨の理由。そこでコンビニに行って食べ物を買ったり、通販で漫画家になるためのセットを取り寄せたりと怠惰な日々を過ごしている。聖人なのになんて役立たずと怒りたくなるかというと、ブッダやキリストのどこかズレた言動を見ているだけで笑え、そして癒やされるから許せてしまう。
最新の第19巻では、走馬燈の代わりに見せるといって、ブッダとキリストに戦隊ヒーロードラマへの出演オファーがある。光瀬龍原作で萩尾望都が漫画を描いた『百億の昼と千億の夜』では、未来に転生し、宇宙を崩壊から救おうと戦うシッダールタ(ブッダ)と、それを邪魔するキリストとしてぶつかりあった2人だが、こちらではペアで悪魔の企みに立ち向かう。
次巻では天使や悪魔も参加して撮影がスタートし、ブッダとキリストが一生懸命に役になりきろうとする姿が見られそう。それを眺めているだけで、こんなに偉い人たちも頑張っているのだから自分も頑張ろうと思えるところに、聖人ならではの功徳がある。軍師としての孔明に政治家としての信長、そして隣のおにいさんのブッダとキリスト。現代の日本に本当に必要なのは、どの偉人なのだろう。