『SPY×FAMILY』アーニャ、『ゴールデンカムイ』アシリパ……漫画作品の魅力を決定づけた幼年キャラたち
『ばらかもん』琴石なる
将来を嘱望される若手書道家ながら、感情に任せて問題行動を起こしてしまい、人間として大切なものを学ぶべく、自然豊かな長崎県・五島列島に移住してきた、主人公の半田清舟。そこで出会う少女が、半田と対照的に快活で人懐っこく、物おじしない性格の琴石なるだ。
その無邪気さ、自由奔放さが、意固地になっていた半田の気持ちを溶かしていく一方で、核心を突く言葉が多いのも魅力だ。夕暮れ時、防波堤に登ったなるが投げかけた「先生(半田)も早く来い この壁を越えなきゃ何も見えないぞ」という言葉は、頭でっかちでチャレンジする気を失っていた半田の心に突き刺さっている。人の心に自然と入り込み、忘れていたこと、あるいはわかった気になっていた大切なことをリマインドさせるのは、大人のキャラクターにはなかなかできないことかもしれない。
このように、無邪気さと人生の核心を突く感性を持ち合わせ、その愛らしさも含めて、作品の魅力を決定づけてきた幼年キャラたち。その魅力を失わずに成長を重ねていくのか、それとも……と、作品に描かれない“その後”を想像するのも一興だ。漫画好きの皆さんが推すのは、いったいどんなキャラクターだろうか。