世界、スポーツやろうぜーー『ハイキュー!!』特別番外編が伝えた願い 競技を支える側に回った元選手の思いを読む
スペシャルマッチは現実にリンクする
『ハイキュー!!』最終話では、1年延期となったオリンピックの会場で、日向たちが日本代表としてコートに立つ姿が描かれた。さすがに無観客ではなかったが、なんとなく、現実とつながった気がして、コロナ禍の鬱々とした気持ちに陽が差したような気持ちになった。
今回も、スペシャルマッチは現実へと続く。8月には『ハイキュー!!』とVリーグのコラボイベント「ハイキュー!!×V.LEAGUE ALLSTAR SPECIAL MATCH“THE VOLLEYBALL”」が開催されるのだ。
「負けたところで 勝ったところで」
「誰も死なないし 生き返らないし 悪は栄えないし 世界は滅びない」
「9×18mの四角の中でボールを落とさないことに夢中になろうぜ」
『ハイキュー!!』本編の記憶に残る名言がリマインドされ、そのなかで黒尾は「世界、スポーツやろうぜ」と願う。「バレーボールやろうぜ」ではなく、「スポーツやろうぜ」に強いメッセージが込められているように思う。
バレーボール界はこれからどうなっていくのだろう。黒尾はまず「できるヨロコビ」を伝え、バレーボールへの入り口を作るために奮闘している。そして、『ハイキュー!!』という作品自体がひとつの「バレーボールの入り口」になっていることは間違いない。『キャプテン翼』が、『SLAM DUNK』が多くの名プレイヤーを生み出しているように、バレーボールの世界で、『ハイキュー!!』が生み出した「妖怪(モンスター)」たちが活躍する日も遠くないかもしれない。