幼馴染が全く別の”ナニカ”にすり替わってしまったら……? SNSで話題沸騰『光が死んだ夏』の不気味な切なさ
いつも隣にいる友人が、全く別の”ナニカ”にすり替わっていたとしたら、あなたならどうするだろうか?
ずっと一緒に育ってきた幼馴染の光。そんな彼が何者かと入れ替わっていることに気付いたよしきは、それが人間ではない異界のモノだと知りながらも、彼といつも通りの日々を過ごそうとする。Twitter、TikTokなど各種SNSで話題沸騰中の『光が死んだ夏』(モクモクれん)は、そんないつの間にか”ナニカ”と入れ替わってしまった幼馴染と過ごすよしきの不気味な日常を描いた作品だ。
孤独感漂う田舎町、まことしやかに噂される不気味な伝承、やがて町全体を襲う不可解な事件...思わずゾッとする要素を含んでいる本作は、まごうことなき「ホラー」であるが、人間ではない”ナニカ”になってもお互い一緒にいたいと強く願うよしきと光の間には友情を超えた関係、言わば「ブロマンス」を感じる。
2人が紡ぐ友情以上の関係性
光と入れ替わった”ナニカ”の正体は分からないが、町に災いをもたらす禍々しい存在であることを肌で感じるよしき。けれど、この世に光がもういないのであれば、偽物でも良いから側にいてほしいと願う。一方で、光の記憶と肉体を受け継いだ”ナニカ”は、よしきに対して異常な執着心を持ち、決して彼のそばから離れようとしない。危険を冒してでも互いに関わることをやめない、狂気じみた2人の関係性からはまさに友情以上の「ブロマンス」を垣間見ることができる。
また、作中の季節が夏であることから、どこか寂しい夏の夕暮れや蝉の鳴き声が目にとまる。まるで、ひと夏の...とでも言いたくなるような、永遠ではないよしきと光の関係性と、2人を待ち受けるであろう悲劇を想像して、思わず涙が溢れてきてしまう。