「2021年コミックBEST10」飯田一史編 1位は読み切りの少女マンガ!
5位『リッチ警官キャッシュ!』は『ブラックチャンネル』や『でんじゃらすじーさん』と並び、「コロコロコミック」がYouTubeアニメ(マンガ動画)で配信+コロコロ本誌連載でマンガを連載というしかたで発信。読者へのリーチのさせかたとして新しい。
4位『四つ子ぐらし』。今の角川つばさ文庫の看板作品のひとつのコミカライズがついにスタート。児童文庫発でマンガ化されたものは意外と少なく、これがどう転ぶかで児童文庫市場のさらなる広がりがどこまでいけるかを左右するのでは、というくらい期待している。
3位『鬼畜島』。LINEマンガの日本オリジナル作品でトップを走るマンガ家・外薗昌也氏の息子でマンガプロデューサーの外薗史明氏が書いた本がおもしろかったので「現代ビジネス」でインタビュー(「クソ漫画」がなぜか“バカ売れ”…年1.5億円以上の印税を生む「凄すぎる」プロデュース術)したらバズったのですが、売り方もすごいけど『鬼畜島』『パンプキンナイト』はやっぱ作品として突き抜けている。マンガってなんでもありだという自由を感じる。
2位『土竜の唄』。マンガワンが毎年8月末にやっている24時間全作品完全無料公開の「マンガワン祭り」で未読だった『土竜の唄』を読み始めたらこれもマンガの自由を体現していて最高。「今生はサルサでッ、来世はサンバか!?」とか「…凪紗ちゃん…君はチ○ポの恩人だ。ムスコに代わって礼を言うよ」とか「ヤクザSDGsや! 持続可能なヤクザ社会をワシが作ったる!!」といったパンチライン満載。シチリアマフィアの覚醒剤製造工場から脱出するときにはサイに乗って戦うとかやりたい放題。マンガワンのコメント欄では「読むシャブ」という思考停止ワードが飛び交っているが、LINEマンガで橋口たかし先生と入江謙三先生が連載している『焼きたて!!ジャぱん~超現実~』と並んで現代最高峰の白い粉マンガ(『ジャぱん』の新作も人間が突然「ばくはつだぁあああ」と叫びながら太陽の塔になったり、食べた人自体がごはんの塊になってしまったり、何を言っているのかわからねーと思うがおれも何を読んでいるのかわからなかった……)。効能的にはシャブというよりサイケデリクス。コロナ禍の閉塞感とか人生とかどうでもよくなる。
1位、鈴山もり『ダイヤモンドになりたい』。こういう流れで紹介すると誤解されそうで申し訳ないのですが、講談社の「デザート」2021年10月号に掲載された新人の読み切り。アプリやウェブでは読めず、シェアできないのが残念(「デザート」2021年10月号電子書籍版にて読むことができる)。コミックDAYSでデビュー作の「そしてとりどり」は読めるものの、それよりも表現が数段深化していて、お話的には少女マンガらしい恋愛ものなんだけれども独特のページ構成、コマ割りで「え!? 何この人?」と衝撃を受けた。