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『リズムナシオン』はマツモトトモの集大成であり新境地か 読者をときめかせる魅力を考察
ダンスに魅せられた個性的な男たちの人生ドラマという面で、男性も大いに楽しめるどころか、青年誌に掲載されていても何ら違和感ないのだけれど、本作はやっぱり少女漫画。氏の作品は体を決して置き去りにしないと冒頭で記したが、それは男性キャラクターを描く際により顕著だ。
ヒロインを能動的に動かしていくだけでなく、男をちゃんと性を持つ生き物として動かしていく。クールな振る舞いで思わせぶりに見つめているだけの男じゃない。『インヘルノ』や『中一プロブレム』にいたっては、外見や雰囲気の変化で性を意識させるようになった男を、それゆえ惹かれていく、それでも好きでいられるかという視点で描いている。
本作は、まさに衝動に突き動かされている男たちの話だ。そしてその身体を解放する。現時点ではラブストーリーの要素はないながら、彼らはダンスに恋している。そんな男たちにこそ、読者もときめいて魅せられる。これぞ少女漫画で、それがマツモトトモだ。作者にとって集大成とも、新境地とも言える一作。読めば、あなたの心も動き出すはずだ。