白間美瑠の写真集『REBORN』はなぜ深い作品になった? 写真家アンディ・チャオと挑んだ本作への"意気込み”から考察
本作の最後は、白いドレスで、水に濡れながら川を渡っているシーンが飾っている。赤いドレスのシーンがクライマックスだとしたら、この白いドレスのシーンは、アイドル写真集の多くで冒頭にくるはずの”爽やかなカット”にあたる気がする。白間美瑠は、赤いドレスのシーンで「妖精の気分でした」と話していたが、筆者としては、むしろこの白いドレスを着ているシーンこそ“そこで生まれたばかりの妖精”のように感じられた。そう考えると、本作は“加入当時の幼かった自分から大人になるまでの成長過程”の逆をいっていることになる……と、ここでハッとした。本作のタイトルは“転生”を意味する「REBORN」。白間美瑠は、NMB48で培ってきた経験を胸に、まっさらな気持ちで新しいステージに臨もうとしており、本作を通して、その意思を大胆に掲げているのだと。
最後の見開きにある川の風景写真のなかに、白間美瑠の姿はない。屋久島の広大さにも劣らない大きな夢を抱き、大自然を包む天候のように目まぐるしく移ろうアーティスト界を新しい気持ちで駆け抜ける決意の瞬間。きっとこれからも、努力を自信に変えて、魅力的なステージに昇華していくのだろう。白間美瑠は、堅実で輝かしい表現者だと強く実感する写真集だった。
■書籍情報
白間美瑠 写真集『REBORN』
定価:2,200円(税込)
出版社:ヨシモトブックス