『僕のヒーローアカデミア』が鬱展開&神作画の連続に 混迷の物語はどこにたどり着く?
第30巻で大きな節目を向かえた『僕のヒーローアカデミア』(集英社、以下『ヒロアカ』)。堀越耕平が「週刊少年ジャンプ」で連載している本作は、世界総人口の約8割が“個性”と呼ばれる特殊能力を所有している超人社会を舞台に、社会を守るヒーローになるために雄英高校のヒーロー科に入学したデクこと緑谷出久を主人公とする物語だ。
無個性の落ちこぼれだったデクは、平和の象徴と呼ばれるヒーロー・オールマイトから個性「ワン・フォー・オール」を継承することで、爆豪勝己たちと共に新時代のヒーローとして成長していく。
物語はアメリカン・コミックスのヒーローモノのテイストを『NARUTO -ナルト-』等のジャンプ漫画のフォーマットに落とし込むことで、アメコミのヒーローモノと、ジャンプ漫画の異能バトルのテイストをうまく融合させた、新しい時代の少年漫画となり、ジャンプの看板作品として人気を博すこととなった。
しかし、20巻を超えたあたりから物語は、死柄木弔を中心としたヴィラン(悪役)たちの物語を深く掘り下げるようになり、作品のテイストは次第に暗鬱化。そして第27巻から本格的に始まる蛇腔市を舞台にした死柄木率いる超常解放戦線とヒーローたちの全面抗争によって、物語は大きな山場を向かえることとなった。
以下、ネタバレあり。
「崩壊」の個性で街を破壊する死柄木に立ち向かうデクだったが、逆に個性「ワン・フォー・オール」を奪われそうになる。死柄木に掴まれたことでデクと死柄木の心は一時的につながり、死柄木の中にいるヴィランたちの黒幕「オール・フォー・ワン」と、デクの中にいる「ワン・フォー・オール」の歴代継承者たちが激しく衝突する。
一方、蛇腔市では超常解放戦線の巨大ヴィラン・ギガントマキアが暴走し街を破壊していた。混乱に包まれた蛇腔市でヒーローたちが市民の避難・救助を行う中、戦況はどんどん悪化していく。なんとか死柄木を追い詰めるヒーローたちだったが、そこにギガントマキアと共に超常解放戦線の荼毘が姿を現す。