『チェンソーマン』マキマは本性は“痛いファン”? デンジとの奇妙な関係性を考える
先月、『チェンソーマン』の第11巻が発売された。本作は昨年末まで藤本タツキが「週刊少年ジャンプ」で連載していたオカルトアクションバトル漫画。
悪魔が跋扈する90年代の日本を思わせる世界を舞台に、チェンソーの悪魔の力を宿した少年・デンジが悪魔や魔人たちと戦う中で成長していく物語は、巧みな画力と構成力、先が全く読めない物語、そして、ジャンプでここまでやるのか? という暴力描写が話題となり、2020年最大の問題作となった。
第一部が終わったことでジャンプ本誌での連載も終了したが、すでに漫画アプリ「少年ジャンプ+」で第二部がスタートすることは発表されている。また、アニメ版『呪術廻戦』と同じアニメ制作会社「MAPPA」でアニメ化されることも決定しており、その勢いはまだまだ衰えることを知らない。
以下、ネタバレあり。
この11巻では、デンジとマキマの最後の戦いが描かれた。
相棒の魔人・パワーが殺され、封印していた過去の記憶を暴かれたデンジは精神崩壊を起こし、廃人同然となってしまう。そんなデンジの変わりに、デンジの心臓となっていたポチタが、チェンソーマンとして復活。敵も味方も殺し、食べられた悪魔は「その名前の存在がこの世から消えてしまう」という圧倒的な力を持ったポチタとマキマ(支配の悪魔)が復活させた武器人間たちの壮絶な戦いが繰り広げられる。
無敵のチェンソーマンと、何度死んでも復活するマキマの戦いは一向に決着がつかない。しかし、チェンソーマンの正体がテレビで放送され、大衆が英雄として賛美したことでチェンソーマンは弱体化。そこを突いたマキマの攻撃によってチェンソーマンは敗北する。だが、ポチタによって復活したパワー(血の悪魔)の命を賭した救出によってデンジが復活。デンジはマキマとの最終決戦に挑む。
デンジにとってマキマは公安の上司で憧れのお姉さん。藤本タツキはインタビューで、マキマの名前はチェンソーでキ(木)を切ると「ママ」になると種明かしをしている。つまりデンジにとって、無条件に自分のことを愛してくれる母性的存在だった。
ではマキマにとってデンジ(チェンソーマン)はどういう存在だったのか?