『チェンソーマン』デンジ、主人公としての新しさとは? ”異質”なジャンプ漫画の魅力
昨年12月に第1部の連載が終了したダークヒーロー作品『チェンソーマン 』(集英社)。”異質”なジャンプの看板漫画として期待された本作は、テレビアニメ化、第2部の連載が決定しているなど、今後も要注目の作品となっている。そこで本稿ではアニメ化に先駆け、『チェンソーマン』の概要と魅力を改めて紹介していく。
本作は孤児の少年・デンジとチェンソーの悪魔・ポチタが、悪魔退治をしている場面から始まる。デンジは亡くなった父親が残した借金を返すために、ヤクザの下請けのデビルハンターとして働いていた。しかしいくら働いても大した給料は貰えず、食べ物も食パン1枚で過ごす日々。そんな生活のなかデンジは、ポチタに自分の夢を語る。デンジの夢は“ジャムが付いた食パンをポチタと食べて、女とイチャイチャして、一緒に部屋でゲームして、抱かれて眠る”ことだ。
そんな”普通”の生活を夢見るデンジに、ヤクザから新たな依頼が舞い込む。悪魔が見当たらないと話すデンジに、「お前は犬みたいだが、犬は臭くて嫌いだ」と話すヤクザ。そして次の瞬間、デンジは何者かに後ろから刺されてしまう。「強くなるために悪魔と契約した」と話すヤクザの後ろには、無数の人間を操る異形な悪魔の姿が。ゾンビの悪魔と名乗るその悪魔は、ヤクザ達の野心を利用して大勢の人間を奴隷化していたのだった。ゾンビの悪魔の目的は、悪魔を殺すデビルハンターを殺すことだ。そしてデンジとポチタは大勢のゾンビに刺され、殺されてしまうのだった。
ポチタは以前デンジと話したことを思い出していた。自身が悪魔と戦い死ねば、ポチタが1人になってしまうと心配するデンジ。そしてデンジはポチタに悪魔には死んだ人間の体を乗っ取れる奴がいるらしいと前置きした上で、「ポチタにそれができるんだったら、俺の体をポチタにあげたい」と話していた。デンジはポチタに自分の夢を託そうとしたのだ。
デンジと共に殺され体をバラバラにされてしまったポチタは、上から垂れてきたデンジの血を飲む。その瞬間デンジの体がくっつき、ポチタが中に取り込まれていく。体が元通りになったデンジに、「これは契約だ、私の心臓をやるかわりに、デンジの夢を私に見せてくれ」と語りかけるポチタ。デンジがポチタの名を呼ぶともうそこにポチタはおらず、デンジが生きているのを不思議に思ったゾンビ達が再び襲いかかってくる。デンジはゾンビ達を哀れに思いながらも、「俺たちの邪魔すんなら死ね!」と胸元の紐を引っ張った。その瞬間デンジは頭部と両腕にチェンソーを携えた悪魔へと変貌を遂げ、ゾンビ達を切り裂く。本体の悪魔を討伐し、デンジが大笑いで元人間のゾンビ達を次々と殺していく姿は、まさに地獄絵図さながら。
そして全てのゾンビを討伐したデンジのもとに、現れる1人の女性。公安のデビルハンターだと名乗るその女性・マキマは、デンジに“悪魔として私に殺される”か“人として私に飼われる”かの2択を迫る。ちゃんと餌はあげるよと話すマキマに、餌の内容を聞くデンジ。そして朝食が“バターとジャム付きの食パンにサラダとコーヒーとデザート”だと聞いたデンジは、「最高じゃないっすか」と漏らすのだった。