『転生したらスライムだった件』誕生の裏側とは? GCノベルズ編集長・伊藤正和インタビュー
レーベルの知名度をあげつつ、記憶に残る作品を出したい
――今の編集部の体制について教えてください。
社員は僕を含めて4人で、アルバイトが1人いてやっと体制が整いました。月によってバラバラですが、1人が月に1冊といったペースで、だいたい4冊くらいは出しているんじゃないでしょうか。多いときには5冊くらいになります。
――編集長が仕切っている感じですか。
うちは、編集部員が独立して動いているところが強いですね。僕からああしろこうしろとは言わず、部員がこうしたいというのを聞いて、僕が許可を出すイメージです。独立しているからフットワークは軽いです。お声をかける場合も、最初に企画は出してもらいますが、すぐに動けるようにさせています。週に1回、この人に声をかけたいという会議をやっていて、そこでOKが出たら声をかけることにしています。
――週1ですか!
これだけサイクルが速いと、1カ月に1回ではムリなんです。どこもそうだと思いますよ。OKを出すかどうかは、自分も読んで判断はしていますが、いちばんは担当者のプレゼンテーションですね。これは面白そうだと思わせられたら、やってみてと言います。僕に関しては、最近は声をかけることは少なくなってしまいました。担当している作品でメディアミックスが増えてきたので、関わっているとなかなか新規の作品を立ち上げられないんです。だから他の編集に頑張ってもらっています。
――これから、どのようなレーベルになっていきたいですか。
人気作を抱えている割には、レーベルの知名度はあまり高くないんですね。『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』はなろう界隈では知名度は高いんですが、GCノベルズが知られているかというと、それほどでもないんです。『賢者の弟子の賢者』や『嘆きの亡霊は引退したい』もそうですね。課題としてはレーベルの知名度をもっと上げつつ一作一作、記憶に残るような作品を出していきたいと思っています。あと、恋愛ものとかは大判市場で需要がないので、文庫レーベルを立ち上げてやっていきたい。ライトノベルでは、ひとりのヒロインがすごく可愛いのが受けています。なろうにもそういった作品が出てきました。書きたいという作家さんもいらっしゃいますので、出せる媒体が欲しいです。
――最後に、推していきたい作品を教えてください。
kiki先生、キンタ先生の『「お前ごときが魔王に勝てると思うな」と勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい』ですね。タイトルはのんびりとしていますが、中身の方は真逆で世界観がめちゃくちゃ濃いんです。グロスプラッタ。そういうものを求めている読者に引っかかってくれていないんですが、海外では『Roll Over and Die』というタイトルで出ていて、とても人気があるんです。南方純先生のコミカライズもできが良いので、この作品をもっと推していけないかなと思っています。