猫好きも魅了するトイプーのアイドル性とは? シニアになっても更新し続ける“可愛いの最高記録”

猫好きも魅了するトイプーのアイドル性

おじいちゃんになってもクーさんは「我が家のアイドル」

道雪葵『うちのトイプーがアイドルすぎる。』2巻(ピクシブエッセイ)
道雪葵『うちのトイプーがアイドルすぎる。』2巻(ピクシブエッセイ)

 今でこそ人間が大好きで甘えん坊なクーさんだが、家に来たばかりの頃はとにかく懐かず、抱っこはもちろん、撫でることも難しかったそう。

 そこで、作者家族はクーさんとじっくり向き合い、徐々に心の距離を近づけていった。ちょっぴりあざとくて腹黒いという本来の個性が見られるようになったのも、家族の努力があったから。共に歩んできたこの14年間は家族にとって、宝物のような時間だった。

 そうした過去を振り返りつつ、シニアとなり、足腰が衰えて目が見えづらくなったクーさんに対し、作者はこんな言葉を寄せる。

犬はシニアになっても 驚くほどずっと可愛いの最高記録を更新し続けているのです

うちの犬は いくつになっても世界で一番可愛いと思うのです

 動物も歳を重ねると人と同じく、できないことが増えていく。トイレを失敗したり、病気になったりもし、必然的に飼い主にのしかかってくる負担が多くなると接し方や向き合い方に悩んでしまうこともあるかもしれない。

 だが、彼らはそうした変化を感じながらも、人間を愛し続ける。実際、クーさんも作者が帰宅すると途端に起きあがり、全身を使って「帰ってきて嬉しい」「好きだよ」という気持ちを伝えてくれるそう。

 老いて体が思うように動かなくなっていっても人間を想い、愛を示してくれる動物たち……。そんな“我が家のアイドル”に私たち飼い主ができる恩返しは、ひとつの命を最期までどう愛し抜くか考えていくことだと思う。

 愛しく思えば思うほど、愛犬や愛猫が年を重ねていくことが怖くなる。けれど、共に過ごせるこの瞬間に私たちが贈れる愛情表現はたくさんあるはず。いつか来るさようならを憂うよりも、愛犬や愛猫の心身に寄り添い、共に笑い合える「今」を大切にしていきたい。

 そんなことを考えさせられる本作は愛犬家だけでなく、動物と暮らしている全ての人の心に響く作品。ぜひ手に取り、「今」の楽しみ方を見つけてみてほしい。

■古川諭香
1990年生まれ。岐阜県出身。主にwebメディアで活動するフリーライター。「ダ・ヴィンチニュース」で書評を執筆。猫に関する記事を多く執筆しており、『バズにゃん』(KADOKAWA)を共著。

■書籍情報
『うちのトイプーがアイドルすぎる。』(ピクシブエッセイ)
著者:道雪葵
出版社:KADOKAWA

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