ラスト数ページで涙腺崩壊……ネコの「わたし」が経験した「げぼく」との日常

ラスト数ページで涙腺崩壊……ネコの「わたし」が経験した「げぼく」との日常

 見つめられたら、すぐにご飯を献上し、特別な日ではなくてもプレゼントをせっせと貢ぐ自分は猫のげぼくだ。愛猫が喜んでくれるのなら、なんだってしたいし、なんでもできる。もっと笑った顔が見たい……。そう思って、より優秀なげぼくになれるよう、努力もしている。

 けれど、こんな自分は愛猫の目にどう映っているんだろう。「いつもニヤニヤしながら見つめてくる変なやつ」だと思われていたら、少しショックだ。

 そんなことを考えていた時、目に止まったのが『わたしのげぼく』(上野そら:著/くまくら珠美:絵/アルファポリス)。自分にぴったりだと思い、即購入した。

ネコの「わたし」が描く、どんくさい「げぼく」と生きた日々

 本作にはネコの「わたし」目線で、げぼくとの生活が描かれている。「わたし」はきょうだいと暮らしていた時、4歳の男の子に「この子がいちばんかわいい!」と言われ、家に迎えられた。

 男の子はその日から、猫のお世話をするように。自分を素敵な猫だと思っている「わたし」にとってそれは当然の行為。自分よりもどんくさい男の子のことを「げぼく」だと思うようになった。

 げぼくという言葉には、少なからずネガティブなイメージがあると思う。しかし、本作で「わたし」が口にする「げぼく」は温かい。なぜなら、そこにはたくさんの愛が込められているからだ。

 ある日、「わたし」はげぼくが買ってもらったロボットが気になり、自慢の肉球で動かしてみることに。すると、ロボットは机の上から落ち、壊れてしまった。それを知ったげぼくが泣きながら尻尾を掴んできたため、「わたし」も応戦。げぼくを引っ掻いた。しかし、翌日になっても泣き続けているげぼくの姿を見ているうちに、「わたし」の心に寂しさと罪悪感が。

まいにちなでてくれるのだが、きょうはまったくさわってくれない。まいにちあそんでくれるのだが、きょうはさそいもしてくれない。

 そこで、「わたし」はとっておきの獲物「ごきぶり」をプレゼント。仲直りを試みる。

 こうしたコミカルなやりとりは自分も経験したことがあったため、顔がほころんだ。愛猫を家に迎えて、まだ間もない頃。トイレに行った隙に、何時間もかけて必死に書いた原稿をボロボロにされ、喧嘩したことがあった。

 「もう知らない」と泣く私を愛猫は初め、遠くからじっと観察。興味なさそうにしていたが、やがて自分のおやつを咥えてきて、「悪かった」とでもいうように顔をペロペロ。その気持ちが嬉しくて、すぐに仲直りをした。共に笑い、時には喧嘩をし、私たちはゆっくりと家族になってきたのだ。

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