『美味しんぼ』栗田ゆう子が恋敵への嫉妬をあらわに……やきもちエピソードを検証

『美味しんぼ』栗田ゆう子の恐るべき嫉妬心

山岡の「ガールフレンドうじゃうじゃいる」発言

 友人が婚約者を紹介すると言っているが、1人で会いたくないので付き添ってほしいと山岡に頼んだ栗田。嫌々ながら付き合う山岡は「俺、関係ねえだろ。君も自分のボーイフレンド連れていけばいいじゃないか」と憎まれ口を叩く。

 「究極のメニュー作りが忙しくてボーイフレンドを作っている暇がない」と話す栗田は「山岡さんはガールフレンドいるの?」と聞く。すると山岡は「当たり前だろ。そんなもんうじゃうじゃいるよ」とうそぶいた。

 それを聞いた栗田は「まあ。そうでしょうとも!あれだけ仕事を怠けていたら、デートする暇もたっぷりあるわよね」と怒る。そんな栗田を見た山岡は「何怒ってんだ?」と驚いてしまった。

 「山岡に彼女がうじゃうじゃいる」と思いこんでいた栗田だが、8巻の「スープと麺」で山岡の大学時代の先輩から「栗田さんと言ったね、どうもありがとう」「こいつは女にもてなくてね、それなのによくあなたみたいな人を捕まえたもんだ」と言われると「ふうんもてなかったのか。じゃあこの前ガールフレンドがうじゃうじゃいると言ってたのは……」と笑う。山岡に彼女がいないことを察知し、ホッとしたのだ。

 その後、タクシーでおマチばっちゃんの鶏肉をわけてもらいに行くシーンでは先輩から「この男を見捨てないで」と言われたこともあってか、「るん」と鼻歌を歌うほど上機嫌に。さらにばっちゃんから「士郎さんのことよろしくお願いしますね」と手を握って懇願されると、山岡の顔を見て露骨にニコニコと笑った。この後、紆余曲折を経る2人だが、栗田はすでに山岡との結婚を心に決めているようにも思えた。

二木まり子の指輪

 栗田を大いに困らせ、嫉妬させたのが二木まり子だ。山岡にほぼ一目惚れした二木は、積極的にアプローチ。しかも二戸銀行会長の祖父も人柄に惹かれ、結婚をしようとあの手この手で迫ってくる。

 24巻のカレー対決ではスリランカに向かう飛行機の中で隣同士になり、座席で眠る山岡の手を二木が握ったことに「ま……」と栗田が不満顔。さらにインドでも山岡と二木、近城と栗田で車を分乗することに「二木さん、まるで当然のように山岡さんと……」と口を尖らせる。

 そして帰国してから、二木が「山岡さんにスターサファイアの指輪を買ってもらった」と見せびらかし、山岡も「スターサファイアはスリランカの特産だもの」と高笑いして2人が仲良く消えていくと、「冗談じゃないわよ」と怒り、後を追う。その様子は富井副部長が「ふううむ。山岡はついに二木まり子と決まりか」とつぶやくほどだった。

 その後、カレーショップで作戦会議をする山岡・二木・栗田。指輪を見せびらかして浮かれる二木に「二木さん、すっかり乗っちゃって」と口を尖らせ、「指輪を買ってあげるなんて。それがバレても山岡さんはしゃあしゃあとして……」と落ち込む。

 しかし、二木の指輪がスリランカの土産売りの少年から100円の価値にもかかわらず1400円で売りつけられたもので、二木のためにプレゼントしたものではないことが発覚すると、栗田は安堵。一方で二木は「100円の指輪でもいいの」と山岡の肩に頭を乗せる。栗田は露骨に「ムっ」とした。

 二木登場後、栗田を狙う団社長と近城カメラマンで、恋の綱引きが繰り広げられることになる。特に国内や海外の取材では、二木がことあるごとに山岡にボディタッチするなど気を引くよう仕掛けていき、その様子に栗田が怒りを見せるシーンが多く見られた。

山岡の心を掴んだのは一途な心

 山岡・栗田・二木・団社長・近城カメラマンの恋愛バトルは、山岡が生死をさまよう病に倒れた際、昼夜問わず介抱した栗田の行動が決定打となり、二木・団社長・近城が敗北宣言を行い、山岡と栗田が結ばれることになる。作品初期から山岡に思いを寄せ、様々な誘惑や向かい風を受けてもめげず、結婚にこぎつけた栗田。その一途な気持ちが、複雑な家庭で育ち「結婚はしない」とまで言っていた山岡の心を動かした要因かもしれない。

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