「あれじゃ去勢された牛」「不潔な雑巾の匂い」……『美味しんぼ』栗田ゆう子の“毒舌”を検証
「不潔な雑巾の匂い」
妊娠しつわりが酷くなり、食欲がなくなってしまった栗田。心配した山岡は「昨日魚の匂いが生臭いといったから、生臭いと感じられないような献立にした」と夕飯を作った。
初めにセロリを食べた栗田は「セロリの匂いがきつくて……」と鼻をつまむ。そしてカリフラワーのグラタンを食べると、「なんだか不潔な雑巾のような匂い」と再び鼻をつまんだ。結局栗田は山岡の作った料理を食べることができず、心配したオチヨが雄山に半ば強引につわり解消料理を習い、山岡の家で食べさせることで、解消させたのだった。(68巻)
つわり時の味覚の変化はいたし方ないが、夫の作った料理を「不潔な雑巾のような匂い」と表現したことには、驚く人もいたのではないだろうか。「何でも言い合える夫婦関係」を構築しているからこその発言ともいえるのだが、山岡はショックだったかもしれない。
「まずかったら死刑」
栗田がマタニティドレスを着て出社しようとしたことに「君がそんな物を着るなんて……」とショックを受けた山岡。その発言に栗田は激怒し、2人の関係がギクシャクしてしまう。
そんな様子を見た谷村局次長は、同時期に妻が妊娠中で、山岡と同じ行動をとった団社長、中松・大石警部、快楽亭ブラック夫妻を鎌倉の自宅に招待する。そして妻たちの前に現れたのは、マタニティドレスを着用し、腹の部分に5キロの米袋を縛り付けた夫たちだった。
マタニティドレスを着た様子を見てショックを受けたことを謝罪する夫たちを見て「奥方たち、これで許してくれないか」と頼む谷村局次長。妻たちが「許す・許さない」で態度が分かれるなか栗田は「じゃあこうしましょう。用意した料理が美味しかったら許す。まずかったら死刑」とかなりぶっ飛んだ発言をする。
山岡が「そんなむちゃな……」と絶句するなか、栗田は「美味しい自信がないの?」とけしかける。プライドを傷つけられた山岡は、生鮭のしゃぶしゃぶを用意し、振る舞う。結局全員がその味に満足したため、丸く収まった。(71巻)
山岡の料理を信頼しているがゆえの発言だとは思われるが、夫を「死刑」にしようとする発言は、かなり大胆である。まさに「キラー栗田」だった。
思わぬ毒舌でニンマリ
取り上げたもの以外にも、ちらほらと栗田のキラーぶりが登場するシーンが見受けられる。思わぬ毒舌を見て、ニンマリするのも『美味しんぼ』の楽しみ方の1つだ。