山岡士郎はいかにして栗田ゆう子の心を射止めた? 『美味しんぼ』珠玉のラブストーリー4選
敗北宣言・過去との訣別(43巻)
恋愛問題で揺れるなか、山岡がサルモネラ菌に倒れ、意識不明の重体になってしまう。ここで栗田は山岡を献身的に看病する。命の危険もあり、病院からの面会要請を受けながら拒否した海原雄山は「病院を見学する」という名目で病室の前までやってくる。ここで栗田は実の父である雄山に「必ず治してみせます」と宣言した。
献身的な看病の末、目を覚ました山岡に、真っ先に抱きつく栗田。その後も山岡の回復に全力を尽くす栗田を見て、団社長と近城はついに白旗を揚げ、プロポーズを取り下げた。
その後、団社長の妹・ゆう子が自分の過去を気にして、立村との結婚に二の足を踏む山岡が手を貸すことになる。協力中だったある日、山岡は栗田に「俺はあの二人にかける」「俺は両親のことで結婚なんてものに疑いを持っていて、それで君のことをええと…あの、ずうっとあれだったんだけど…それが言えなくて」と切り出し、「ゆう子さんが過去なんかくずかごに叩き込んで立村さんと結婚できるように俺、全力を尽くす」「そしてそれに成功したら俺も過去はゴミ箱に叩き込む」「君に結婚申し込むよ」とプロポーズ予告をする。
立村とゆう子の縁談をまとめた山岡と栗田。その帰り道、山岡は「今度は俺の番」「あ~まあ~その~」とまるで田中角栄元総理大臣のように口ごもる。ここで本来この瞬間を待ち焦がれていたはずの栗田が「荒川夫人と三谷夫人が色々教えてくれたわ。上手な断り方を」と、意地悪な発言をする。真に受けた山岡は「今のは本当に上手な断り方だな」「先制攻撃でやられるとは思わなかった」と肩を落とす。そして早歩きになり、「幸せになってくれ、俺を断ったのは正解だよ…」と立ち去ろうとした。
栗田は「何を言ってるのよ。断るも何も山岡さんまだ何も言ってないじゃないの」と若干焦ったように叫ぶ。自棄気味の山岡は「そんなこと言ったって俺が結婚申し込んだら断るんだろ」「じゃあ結婚してくれって申し込んだら、受けてくれるてえのかよ!」と絶叫。栗田はこれに「受けるわよ」と応じ、結婚が決まった。
超鈍感ぶりをみせる山岡にヤキモキさせられながらも思いを貫き、無事に結婚できた山岡と栗田。意地悪な答えをした栗田の行動には「悪魔過ぎる」という声もあったが、ようやく2人がゴールインしたことに、読者からは安堵の声があがっていた。
恋愛漫画としての評価も高い
料理についての物語だけではなく、様々なラブストーリーも多い『美味しんぼ』。恋愛漫画としても十分に楽しめる作品であると言えるだろう。