いよいよアニメ第3期開始! 『ダンまち』が熱狂的に支持され続ける理由とは?
その前に、10月2日スタートのアニメ第3期で描かれるエピソードにも注目だ。ベルたち【ヘスティア・ファミリア】の元に、未知なる存在が舞い込んで来たところから、物語は幕を開ける。アニメのあらすじによれば、「それは、異端児(ゼノス)と呼ばれる言葉を解する怪物(モンスター)だった」。
この世界でモンスターといえば、神様が用意したダンジョンで敵として倒されるだけの存在でしかなかった。冒険者は襲ってくるモンスターをひたすらに狩れば良かった。そこに言葉を解するモンスターが現れた。人間たちと意思疎通が可能で、自分たちが置かれている境遇も理解し、怯えたり怒ったりしている異端児たちを人間はどうするべきなのか。
「『未知』は混乱を誘い、常識をも破壊し苦悩と葛藤を喚び起こす」とあるように、討伐すべきだという意見が大勢を占める中、ベルだけはヴィーネという名の異端児の少女を、仲間の元に返そうと奔走する。オラリオの人間たちすべてを敵に回してでも。
恐れられ、差別される存在であっても、守り敬うべきだというベルの態度には、昨今の世界で様々な形で噴出しては、撤廃に向けて戦いが続けられている差別の問題に対する、ひとつの答えがある。自分を信じてくれていた仲間たちから疑われても、最愛のアイズから嫌われても、貫くべき信念がある。そうしたベルの行動が物語の先でもたらした可能性に、現実の社会も学ぶことが多そうだ。今というタイミングでこのエピソードが放送されることに、運命の巡り合わせを感じてしまう。見よう。そして原作を読もう。
■タニグチリウイチ
愛知県生まれ、書評家・ライター。ライトノベルを中心に『SFマガジン』『ミステリマガジン』で書評を執筆、本の雑誌社『おすすめ文庫王国』でもライトノベルのベスト10を紹介。文庫解説では越谷オサム『いとみち』3部作をすべて担当。小学館の『漫画家本』シリーズに細野不二彦、一ノ関圭、小山ゆうらの作品評を執筆。2019年3月まで勤務していた新聞社ではアニメやゲームの記事を良く手がけ、退職後もアニメや映画の監督インタビュー、エンタメ系イベントのリポートなどを各所に執筆。
■書籍情報
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』(GA文庫)
著者:大森藤ノ
イラスト:ヤスダスズヒト
出版社:SBクリエイティブ
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