テイクアウト、自動調理、人工肉……コロナ禍で「食」の明日はどう変わっていく?

テイクアウト、自動調理、人工肉……コロナ禍で「食」の明日はどう変わっていく?

 『フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義』はコロナ禍、SDGs、農業や飲食産業のDXを踏まえて「食」の明日を多面的に示す一冊だ。

 食べることはすべての人間に関わり、しかしたんに「栄養が取れればいい」「とにかく便利に短時間で済ませばいい」というものではない。たとえばコロナ禍で奪われたのは、複数人でお店でゆっくり時間をかけて会話することで関係性を育み、深め、確かめあう「コミュニケーション体験」としての食事の楽しみだ。

 機能性や味に留まらない食の価値をこれからどう再興し、新たにつくっていくのか。それに取り組んでいるプレイヤーの顔ぶれは? 世界の食産業の急激な変化に対して日本は(またも!)出遅れているが、巻き返しのカギは? といったことがわかる。

コロナ禍以降の外食/中食

 多くの人が真っ先に気になるのは、これから先、外食、それも大型チェーン店以外の飲食店はどうなっていくのだろう、自分の好きなあの店が続くための道はないものか、ということだろう。もちろん、事態は進行中であり、ニューノーマルへの対処法のパターンはまだ確立されていない。ただ飲食業のゲームのルール、潰れないためにやるべきことが変わったことは間違いない。

 本書では「たんなるテイクアウトでは、いくらおいしくても外食が提供していた体験性に比べると見劣りする」と一線にいるシェフ自身が語る。そこでひとつの方策として、たとえば「買ったあとに家庭であえて一手間加えてもらう要素を残す」「持ち帰るものであっても、複数人での楽しみにつながる価値を提供する」(あえて小分けにせず一定のボリュームを最小単位にして売ることで買った人が分け合ったり、いっしょに食べることを促す)といった施策を紹介し、従来の外食が提供していたのとはまた別の体験性をテイクアウト、中食においても実現することを提案する。

 また、立地が来店動機の多くを占め、近隣企業の飲み会需要で持っていた店は厳しくなった。したがって「店」単位ではなく、シェフやスタッフ「個人」に対するパーソナルな共感や関心によって顧客とSNSで(も)結びつくことが飲食業でも求められる動きが加速する、顧客に選ばれるための情報戦が激しくなる、とも言う。

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