烈海王は中国拳法のイメージを一新したーー『刃牙』シリーズで格闘技ファンに与えたインパクト
愚地克己に受け継がれた右手
現在ではYouTubeなどの発展もあり、立ち技ならミャンマー・ラウェイだったり、世界中のありとあらゆる格闘技の映像を見ることができるようになった。中国武術でも宮平保先生を始め、その武術としての真髄の一端を映像により感じやすくなったことによって、改めていろんなものが発掘、発見、再評価されている。YouTubeを始めた格闘家も多く、そこで武道の達人とコラボをして……という流れも出てきた。
ジークンドーの石井先生は烈海王の無寸発勁(厳密にはワンインチパンチだったが)を始めとする刃牙シリーズの技を実演、またジークンドーの技術を披露してくれ、またその動画が多くの視聴者に観られたことによってジークンドー、そして中国武術への再評価の機運も高まっている。中国武術の真実を感じ取ることで、改めて武人としての烈海王の魅力も感じ取ることができるだろう。残念ながら最新シリーズの『バキ道』では、もはや烈海王の勇姿を目の当たりにすることは敵わないが、中国拳法4000年の歴史と烈海王の魂の宿った右腕を託された愚地克己がその右腕を用いてどのような戦いを、空手を披露するのか、今から楽しみでならない。
■関口裕一(せきぐち ゆういち)
スポーツライター。スポーツ・ライフスタイル・ウェブマガジン『MELOS(メロス)』などを中心に、漫画、特撮、芸能、ゲーム、モノ関係の媒体で執筆。他に2.5次元舞台のビジュアル撮影のディレクションも担当。
■書籍情報
『グラップラー刃牙完全版 4―BAKI THE GRAPPLER』
板垣恵介 著
価格:本体 1000 円+税
出版社:秋田書店
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