『ケンガンアシュラ』はバトル漫画と格闘技漫画の良いとこ取り? キャラの扱いにも独自のルール

『ケンガンアシュラ』はバトル漫画と格闘技漫画の良いとこ取り? キャラの扱いにも独自のルール

 『ケンガンアシュラ』の強みは何だろうか? このことを考えるには、まず「バトル漫画」と「格闘技漫画」の違いに言及しなければならない。両者は似ているようで、ちょっと違う。たとえば『ドラゴンボール』と『高校鉄拳伝タフ』で考えてみよう。もちろん諸説あるのは承知だが、恐らく多くの読者は、前者を「バトル漫画」、後者を「格闘技漫画」と捉えるのではないか(続編の『TOUGH』と『龍を継ぐ者』については一旦、議論を持ち帰らせてください。今、エラいことになってますし……)。同じ戦闘シーンがメインの漫画だが、両者はリアリティが違いすぎる。『ドラゴンボール』の悟空は空を飛ぶが、『タフ』の宮沢熹一は飛ばない。この点、『ケンガンアシュラ』はバトル漫画と格闘技漫画の良いとこ取りをしている。

経験者が描く格闘描写

 『ケンガンアシュラ』は裏サンデーに掲載された作品だ。企業が腕利きの格闘家を雇い、巨大な利益をかけて決闘を行う「拳願仕合」。この拳願仕合に参加する格闘家たちの熾烈な戦いを描いた作品で、27巻をもって一旦は完結。現在は『ケンガンオメガ』として続編が連載されている。作者は原作サンドロビッチ・ヤバ子、作画だろめおんのタッグ。ちなみに原作のヤバ子氏は空手・ブラジリアン柔術・総合格闘技の経験者で、担当編集者も高校時代にフルコンタクト空手で全日本3位になり、他にキックボクシングの経験も積んだ猛者だ。 

 「拳願仕合」という『嘘喰い』『賭博黙示録カイジ』を彷彿とさせる突飛な舞台だけではなく、「野生のイノシシをブチ殺して食事にしている主人公」など、異様に濃いキャラクターは、完全にファンタジーの領域。冒頭に書いたリアリティの話でいえば、完全に「バトル漫画」になるだろう。しかし、本作は間違いなく「格闘技漫画」である。オリジナルの格闘技が多数登場するが、劇中で登場するテクニックや豆知識、戦闘描写は(技自体は突飛でも)、読者に「メチャクチャ鍛えてる人なら、ひょっとしたら本当にできるんじゃないか?」と思わせるリアリティがある。これはオマケ漫画やメディアでも語られているように、ヤバ子氏と編集者が格闘技経験者なのと、実際に技をかけあって参考資料を作っているおかげだろう。このリアリティは「格闘技漫画」と呼んで差し支えはないものだ。

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