ジャンプ連載中『アンデッドアンラック』の超展開がすごい! あまりにもぶっ飛んだ“神”の概念とは?
まるで最終回のような盛り上がりだが、一応、連載は続行中。人気面での問題はなさそうだが、一話あたりの物語の密度と設定とキャラクターの詰め込み方が半端ではないので、作者の気力と体力が持つのか相変わらず心配である。
この巻では組織の否定者たちが戦っている“敵”の存在が明らかになる。課題に成功すれば報酬が、失敗すると罰(ペナルティ)が与えられるのだが、その罰とは、この地球に理(ルール)が足されることらしい。
否定者のナンバー1は「性別」「言語」「人種」「死」「病気」が今まで書き足された98回の罰の一部だと言う。課題に挑まないと罰は3カ月に1度増えていくため、否定者たちは課題に挑んで力を上げながら「いつかこの地球に理を強いる」「本の向こうにいる創造主(神)を殺す」ために戦っているらしい。
「神との戦い」という発想自体は漫画において、そう珍しいものではない。しかし、神という概念の捉え方は新しい。神は、後からルールを(罰として)書き足すことが可能で、その都度、様々な概念が生まれるという発想は、あまりにもぶっ飛んでいて、頭が追いつかない。
神をプログラマーと捉えると、すごくゲーム的な世界観だと言えるのだが、物語として転がすとなると実に大変である。実際、本作もアクロバティックな超展開の連続で毎回どうなるのかと驚いているのだが、だからこそ目が離せないのだろう。“理”を強いる神との戦いを本作はどう描くのか。次巻も楽しみである。
■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。
■書籍情報
『アンデッドアンラック』既刊2巻
著者:戸塚慶文
出版社:株式会社 集英社
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