犬山紙子が語る、コロナ時代における夫婦円満の秘訣「弱音や愚痴を吐く練習をやっておくと、支え合える夫婦になる」
カウンセリングでわかった怒りの原因「甘えたいから怒っていた」
——犬山さんは結婚3年目から4年目までカウンセリングを受けたそうですね。ご自身の怒りっぽい性格に、夫が疲れきって傷ついてしまうことを避けるためとありました。怒りの根本を探ったら、実は甘えたいから怒っていたことに気づいたというのが興味深かったです。カウンセリングのいい点を改めて教えてください。犬山:カウンセリングのいい点は二つあって。一つ目は守秘義務を持っている方に話せること。友達にも言えない悩みもたくさんあると思うんです。カウンセラーの方は否定せず傾聴してくれるんですよね。そうすると自分がどうしたいか分かる。もう一つは、第三者の視点が入ること。夫婦の問題を考えるときに一気に視野が広がります。俯瞰で問題を捉えることができるのはいいことだと思います。そしてカウンセラーや臨床心理士の方などはその道のプロなので、一般の人に相談に行ったり占いに行ってみたりするよりも、科学的な根拠に基づいてアドバイスがもらえます。
——どんなきっかけでカウンセリングを受けようと思ったのですか?
犬山:きっかけは本当に軽い気持ちだったんですけど、海外ドラマを見ているとカップルも夫婦もカウンセリングに行くじゃないですか。日本にもあるのかな~と思っていて。児童虐待防止の活動で、メンタルケアの必要性に気づいたのもありますね。
——どんな風にカウンセラーを探されましたか?
犬山:私の場合の選ぶポイントは、臨床心理士の資格を持っていて、カウンセラー歴が長くて経験豊富なこと。非科学的なことを言っていないかなどもチェックしてみました。最初はインターネットで家から近いところを探しましたね。あとは、友人の口コミなどに頼るのもいいかもしれません。ただ、カウンセラーさんにも合う合わないの問題があります。私は最初のカウンセラーさんは合わなくて変えました。変えた相手は上の条件ももちろん当てはまる、知人からの紹介ですね。
——変えてもいいんだと思うと気持ちが楽ですね。ですが日本だとまだまだカウンセリングは浸透していないですよね。カウンセリングに通う=病気だと思われてしまったり。
犬山:風邪をひいたり怪我をしたら病院に行きますよね。なぜかというとプロに診てもらうため。心が傷ついたときも同じ。私たちはメンタルケアの方法を学校で習ったわけではないので、プロに頼っていい部分だと思います。心の不調はなかなか気づきにくいですけどね。私自身、何回かメンタルを崩したからわかるようになりました。眠れなかったり、動悸が激しくなったり、声が出なくなったり。そうなる前に気軽にプロに診てもらえばよかったなと思います。そもそも心の病気が恥ずかしいと思ってしまう社会の空気も問題です。
夫婦同時の在宅ワークのコツは、朝のスケジュール会議
——在宅ワークはいかがですか?
犬山:正直、私は性に合っていますね。もともとインドアなので。効率的だし、仕事の前後にかかっていた時間が他のことに使えたり。私は今、絶賛ヘルニア中なので、体を休めることができるのもいいですね。
——テレビのコメンテーターのお仕事も、自宅からリモート出演されていますね。
犬山:テレビ出演はやっぱりスタジオでワイワイ話している方が空気が伝わるしいいことが多いと思うんですけど、この新型コロナの時期にテレビ局がしっかり対策してリモート出演をすすめてくれたのがよかったです。テレビ局に対して信頼感が増しました。大切に思ってくれているんだなと。
——テレビ仕事の在宅ワークは、普段と比べてどう違いましたか? 打ち合わせに余計に時間がかかったりしたのでしょうか。
犬山:機材のチェックはありますが、打ち合わせ時間はこれまでどおりですかね。普段から台本はメールで送られてきますし。逆に移動時間がなくなったので、下調べや準備の時間が十分に取れたりしています。
——在宅ワークで工夫していることはありますか?
犬山:早寝早起きのリズムを崩さないこと。つい深夜までやってしまうと、私はもうアラフォーなので次の日がきついんです。12時を超えて1時間仕事をすると、翌日負担が3倍になって来てしまう。夜は子どもと一緒にしっかり寝て、朝は子どもと夫が起きる前にそっと起きて、2時間くらいでガッと仕事する。早朝の方が集中力があるので。やっぱり子どもが横にいる状態では仕事は絶対できないですね。
——夫婦同時の在宅ワーク、どうやっていますか?
犬山:朝、夫と「今日どんな感じ?」と話して、仕事のタイムスケジュールを作って子どもを見る分担を決めていますね。グーグルカレンダーでお互いのスケジュールを把握しています。片方の仕事中にいかにパートナーが子どもの気をひくかですよね。
——ご自宅の環境はどう工夫されていますか?
犬山:デスクと椅子の見直しは必須ですね。自分の椅子とデスクが、肩と首に負担を与えない高さなのかチェックが必要です。腰に負担をかけない座り方を調べたりもしました。あとは、スマホを裏返しにして片手の半径より届かない場所に置いています(笑)。スマホを横に置きながら仕事をすると、かかる時間が1.2倍になる。スマホを触りながら仕事をすると効率が下がるというのはデータで出ています。
——コロナが収束した後でも継続したい習慣はありますか?
犬山:在宅ワークのノウハウはコロナ後も選択肢として残しておければいいですね。まさにこういった取材とかは最初から「オンラインにします? 対面にします?」と選べたり。一般の会社の方々も在宅ワークをやってみて、この時間全然いらなかったなとか、やっぱりここは現場の方がいいなど、仕事のやり方が見えてきたかもしれませんね。
在宅ワークをきっかけに、お互いの仕事にリスペクトを示そう
犬山:家の中で夫婦がこれだけ顔を突き合わせて仕事を続けていると、普段は知ることができなかったお互いの仕事に対する姿勢が見えてきますよね。この機会にお互いの仕事に対する考え方をちゃんと話し合ってすり合わせていくことが、コロナの後の二人の関係に影響を与えると思います。ぜひお互いの仕事に対してリスペクトしていることを伝えてください。——たしかに、仕事中の人格はなかなかパートナーに見せません。コロナの影響で普段見れない部分を見ることができました。
犬山:仕事のつらいことをパートナーに言わない人はすごく多いですよね。相手を不安な思いをさせたくないという思いやりからなのですが。これを機会に、弱音や愚痴を吐く練習をやっておくと、支え合える夫婦になると思います。特に男性は弱音なんか吐いちゃいけないというプレッシャーもあると思うんですが、我慢した先にはメンタルの不調があります。ぜひ弱音を吐いてほしいです。
——本書に「知識は問題の重症化を防ぐワクチンのようなもの」とありましたが、まさにそうですね。新型コロナウイルスの影響で社会構造が変われば、家庭にも大きな変化をもたらします。これを夫婦関係に新しい知識や習慣を取り入れるチャンスと捉えてみようと思います。
■犬山紙子(いぬやま・かみこ)
‘81年大阪府生まれのコラムニスト。『言ってはいけないクソバイス』(ポプラ社)『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)など計14冊の著書を上梓。近年は執筆業のみならずTVコメンテーターとしても活躍。『スッキリ』(日本テレビ系)、『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系)、『報道ランナー』(関西テレビ)にて日替わりコメンテーターとして毎週出演中。
■書籍情報
『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある 』
犬山紙子 著
好評発売中
ページ数:238ページ
定価:840円+税
出版社:扶桑社