スタバ、ドトール、ぽえむ……喫茶チェーンには“キャラ”がある? 後藤由紀子の『喫茶チェーン観察帖』レビュー
愛しい日々の読書
落ち着いたら友達誘っていってみよう
この本の中では各チェーン店を擬人化しています。これが的を射ていて見事です。ドトール系列のお店は一緒にいて不思議といやされる友人。清楚で60’sレトロガールのシャノアール姉さんと、トラッドで活発なベローチェちゃんなどなど、著者の妄想が膨らんでいます。喫茶チェーン愛がもたらすものだと思います。それぞれのコーヒーが入ってくる器についても、イラスト付きでわかりやすく、しかもかわいく紹介されています。こういう本を書く方というのは場数踏んでいるだけでなく、探求心と想像力が豊かなんでしょう。お茶をしていて心地よいとかおいしいとかは思いますが、私の場合はそれどまり……玄人と素人の違いですね。
この本は章立てもとても面白いです。CHAPTER5は地方から首都圏へ。CHAPTER6はカフェに使える他ジャンルチェーン。と、もはやカフェではないけれどカフェに使っちゃう店ってありますね。下北沢の「ミスター・ドーナツ」は若いころ夜遊びするときの集合場所だったし、「デニーズ」はママ友との集いの場。「PAUL」も待ち合わせまでに時間があると品川エキナカで時間つぶしたり。確かにあります。ジャンルは違うけれど、町中華チェーン店を居酒屋みたいにしている友人もいたりして、ラーメンは食べたことないけど飲み会で使うと話していたことを思い出しました。そんなもんですよね。
それぞれが好きなように楽しんでコミュニケーションをとる場所。そんな時間をかけがえがなかったなーと振り返る今、そしてこれから、落ち着いたら友達誘っていってみようと計画する楽しみ。今はそんなときかなと思い、もうしばらくじっとしていようと思います。
■後藤由紀子(ごとう ゆきこ)
1968年静岡県生まれ。静岡県沼津市の雑貨店「hal(ハル)」店主。庭師の夫、長男と長女の4人家族。センスの良い暮らしぶりが雑誌などで人気。著書に『50歳からのおしゃれを探して』『おとな時間を重ねる 毎日が楽しくなる50のヒント』『毎日続くお母さん仕事』『日々のものさし100』など、暮らしまわりにまつわる著書多数。
■書籍情報
『喫茶チェーン観察帖』
飯塚めり 著
価格:本体1,600円+税
出版社:カンゼン
公式サイト