向田邦子の本棚に並んでいた蔵書の数々に興味津々 後藤由紀子の“愛しい日々の読書”第3回

『向田邦子の本棚』後藤由紀子書評

向田邦子と同じ年齢に

 友達の家に行って本棚やレコード棚を見るのが好きです。でも逆は、裸を見られるより恥ずかしいもの。この本はタイトル通り、向田邦子さんの本棚を覗き見る1冊です。

連載第1回:八千草薫『まあまあふうふう。』
連載第2回:『京都西陣 町家に暮らす16匹の猫たち』

 生誕90年ということは、年男のうちの父より(ちなみに父は立川談志師匠と同じ歳)6歳も年上なのねぇとなんだか不思議に思います。51歳でお亡くなりになられたため、その年で年齢は止まったままになっています。そして私がその当時の向田さんと同じ年になりました。それもなんだか不思議であります。

 向田さんの作品を初めて観たのは『寺内貫太郎一家』とか『時間ですよ』の再放送でした。小学生の食いしん坊な私はごはんのシーンに釘付けになりながらも、面白くて切なくて、大人になってもいろんな思いがあるんだなぁと、ぼんやり思いながら観ていました。

 その後、雑誌で特集が組まれたり、友達から『向田邦子新春シリーズ』のビデオを借りたりして、小説やエッセイを読むようになりました。味のある言葉選びと描写から体温を感じられ、大味でなくどれもが節度や品があり、しっとりしていて余白があります。作品もさることながら向田さん本人も魅力的で、衣食住を楽しんでいる暮らしぶりや友達との接し方も憧れています。そんな方の本棚、もちろん興味津々で楽しく読み進めました。

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