スタバ、ドトール、ぽえむ……喫茶チェーンには“キャラ”がある? 後藤由紀子の『喫茶チェーン観察帖』レビュー

後藤由紀子『喫茶チェーン観察帖』レビュー

愛しい日々の読書

 新型コロナウィルスにより外出自粛要請が出て、「また来週ね」と話していた友達に急に会えなくなったり、打ち合わせや展示会がなくなったり、おいしいものを囲んで乾杯することがなくなったりと、人と触れあえない寂しさ、味気無さを感じています。

 お茶やお酒を飲みながら、どうでもよいことを、だらだらとおしゃべりする時間というのはとても大切だったんだなーと、何でもないようなことが幸せだったんだなーと再確認しました。

喫茶チェーン店のみをまとめた本

 そんな時、この本に出会いました。喫茶できない寂しさを紛らわすように読みました。チェーン店しばりというのは面白い切り口です。もともと純喫茶が好きで、おじさんがスポーツ新聞を読んでいるような雰囲気が居心地よく、接客も必要最小限でぶっきらぼうなくらいがちょうどよかったりします。おしゃれでお茶しに行く目的ではないので、テンションがあまりに高い店だと、それに圧倒されて疲れてしまいます。浮足立っていないお店が好みです。

 前書きにはチェーン店ごとに「人格、キャラ」を感じるとあります。必ずしも計算されたものではなく、お店のこだわりや歴史などからにじみ出てしまったマニュアルを超えた「味」、その人格のようなものに惹かれているから、お店に通っているとのこと。なるほど、確かにそうかもしれません。だからこそ、たくさんあるチェーン店でも実際足しげく通うのは、私の場合2、3店なんだなーと思いました。

 トップバッターは「スターバックス コーヒー」。

「スタバを味わうための背伸び」をしていた時期がありました。(本文より)

 という一文から始まります。本を出すほどのエキスパートでも最初は素人なんですね。私もスモールといまだに言ってしまったり、ダサさ全開です。コーヒーカスタム以前のレベルです。飲み物はもちろんフードに至るまで事細かに書かれています。イラスト付きなのでとても分かりやすい。私の住む地元にもようやくあちらこちらでスタバの開店がありました。友人からもスタバのドリンクチケットがLINEで贈られる時代です。この本を熟読し入門編として楽しんでいけたらと思います。

 次は私の愛する「ドトールコーヒーショップ」。いつだって「ド定番」とあります。そう、その定番感から安心して足しげく通ってしまうのだと思います。すっきりしたデザインの器できちんと出てきてBGMも良いんですよ。出張先にも近くにドトールがあるのならホテルの朝食をつけないほど好きです。新幹線に乗る前も、三島駅のドトールでホットドッグのモーニングセットを買ったり、やる気満々の時は季節のミラノサンドを買ったりしちゃうくらいです。ミラノサンドは紙ナプキンを使うとよりスマートに食べられるという、裏技もご紹介されています。地元にもあり都会にもあり地方にもある安定感にホッとできるお店です。

 「アフタヌーンティー・ティールーム」。東京時代は友達がパルコパート3店にいたことから、しょっちゅう通っていました。この本にもあるようにコゼーの役割を初めて知ったり、カフェオレボウルでカフェオレを飲んだり、クロテッドクリームをスコーンにつけたり、いろいろと初めて尽くしのお店でした。気の利いた音楽が流れて、お店に来ているお客さんのおしゃれな洋服を横目にちらちら見ながら、友達とおしゃべりに花を咲かす、そんな場所でした。ただの喫茶店ではないアフタヌーンティールームのカルチャー色の強めなところが、20歳そこそこの小娘には興味津々なお店でした。

 今はもうすっかりおじさん化してしまっている私は縁遠くなってしまってますが、この本を読んでたまにはおしゃれして行ってみようかなーと思いました。

 行ったことがあるチェーン店、名前も知らなかったチェーン店など、いろいろ掲載されていますが一番気になったのが「コーヒーハウスぽえむ」。「おもてなしがニクイ」と見出しにあります。珈琲の種類が100種類あって、スコーンの種類もたくさんあるそう。マスターはものかげにいらして、チェーン店なのですが店によってメニューも様々で何だか面白そうです。今の状況が落ち着いたら、ぜひ各店舗を順番にいろいろ伺ってみたいなーと思いました。友人が住む駅にもあるみたいなので、呼び出しもできたらいいなーと夢が広がりました。

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