『鬼滅の刃』不死川実弥はなぜ炭治郎とぶつかっていたのか? 最後の共闘に至る道すじ

『鬼滅の刃』不死川実弥の確執

 炭治郎に対しては特に当たりが強かった。柱合裁判の途中、炭治郎が禰豆子を連れていたことから、実弥は刀身で彼女を傷つけ、さらに彼女が人を食らう鬼だと証明するため自分の血で誘惑したのだ(結局、禰豆子は耐え抜いたのだが)。さらに、柱訓練の際にも衝突を起こしたことから、炭治郎は上から修業の中断と接近禁止を命じられた。

 炭治郎との確執は、鬼化した肉親を殺すことでしか生き残れなかった実弥(またそれを恨み続けた玄弥)と、一方で鬼化した妹を人間に戻すため隊士となった炭治郎とで、相対する関係性にあったことが原因なのではないか。

 しかし、炭治郎が無惨を決死の覚悟で追い詰めたことから、実弥は炭治郎の底力に共鳴し、最後の最後で追い討ちをかけたのではないかとも考えられる。やはり、ここでも炭治郎の闘いぶりに鼓舞されて「意思をつないだ」と言える。

 実弥は満身創痍ながら無惨に止めを刺そうとする。彼が背負っている物語に想いを馳せると、その一撃の重さが伝わってくるのではないか。

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