『鬼滅の刃』目を見張る必殺技の効果! 技の名前が長い理由も考察

『鬼滅の刃』必殺技の名称が長い理由を考察

 たしか『鬼滅の刃』の第19巻が発売された翌日だったろうか。仕事で東京に行った私は、書店に寄って買う本を物色していた。新刊コミックのコーナーで何冊か駕籠に入れた時点で、『鬼滅の刃』がないことに気づく。とんでもない人気があることは分かっているが、まさかの売り切れ? ジャンプコミクックスのメガヒット作でそんなことがあるのかと思っていたら、張り紙が目に入った。そこには「『鬼滅の刃』19巻を購入のお客様は、レジでお申しつけください。お一人様一冊でお願いします」と、書かれているではないか。売り場に出さずにレジで販売というのは、他のコミックスでも例がある。だが、お一人様一冊というのは、初めて見た。もちろん、転売ヤー対策とか、いろいろなことを考えてのことだろうが、『鬼滅の刃』の突き抜けた人気を、あらためて実感してしまったのである。

 では、『鬼滅の刃』の、何がそれほど読者の心を惹きつけるのか。私は最初、大正時代が舞台なので、内容も知らないまま購入した。時代コミックを集めているので、その一環である。だが読み始めてすぐに、物語に夢中になった。まず感心したのが、スピーディーな展開だ。主人公は、父親亡き後の家族を炭焼きで支えている、少年の竈門炭次郎。貧しいが、母親と、たくさんの弟妹との暮らしは満たされていた。しかし留守にしている間に一家が鬼に襲われ、妹の禰豆子を除いて全員が惨殺される。さらに鬼の血を浴びた禰豆子も、鬼になってしまう。鬼を退治している鬼殺隊の冨岡義勇によって命を救われた炭次郎。禰豆子を人間に戻す方法を探すために、鬼殺隊に入ることを決意。厳しい訓練を経て、見事に隊員になった。

 というのが1巻の内容だ。以後、鬼殺隊の一員として鬼たちと壮絶なバトルを繰り広げる。その一方で、炭次郎と禰豆子の兄妹愛や、仲間たちとの友情など、人間ドラマも濃厚だ。また、鬼殺隊の面々や、元は人間だった鬼たちにも、それぞれのドラマがある。さらに炭次郎や禰豆子の抱える謎や、人を鬼にする鬼舞辻無惨の目的など、読者の興味を引っ張るネタも、きちんと仕込まれている。これらの要素が混然一体となり、一度ページを開いたら、読むのを止めることができない漫画となっているのだ。

 もっともそんなことは、読者自身が一番理解しているだろう。そこでこの原稿では、炭次郎たちの使う必殺技に注目したい。スポーツ漫画からバトル漫画まで、少年漫画の大きな魅力のひとつは、主人公たちが使う必殺技にある。「週刊少年ジャンプ」でも、『リングにかけろ』から『ワンピース』まで、必殺技が花盛りなのである。その最新型が『鬼滅の刃』なのだ。

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