与田祐希『無口な時間』は“乃木坂46の写真集”という高いハードルを超えた

与田祐希『無口な時間』の衝撃

 乃木坂46・与田祐希の2nd写真集『無口な時間』が、3月10日の発売から2度目の重版が決定し、累計発行部数20万部を突破した。 これまでに、乃木坂46として2冊目の写真集を出したのは卒業した西野七瀬、橋本奈々未、白石麻衣、生田絵梨花、高山一実、これから発売となる秋元真夏、堀未央奈、そして与田の8名。その多くが1期生、2期生のメンバーであり、3期生以降で写真集を出しているのは与田と山下のみ。それだけでも彼女の求心力の強さが感じられる。

1ページ目のカットの衝撃

 2017年12月に発売された1st写真集『日向の温度』は、コンサート中にサプライズで発売が発表され、与田の驚いた表情がそのまま写真集に使用されるというドキュメント要素を含みつつ、シンガポールを舞台に彼女のあどけなさを閉じ込めた作品だった。あれから約2年。イタリアのシチリア島とミラノで撮影された『無口な時間』は、与田にとって10代最後の姿を収めた写真集。いまだ残る幼さを感じさせつつも、大人への一歩を歩み始める艶やかなショットもふんだんに収録されている。

 まず、『無口な時間』を開いて、1ページ目から驚いた。写真集のファーストインプレッションを決めるという意味で、重要な役割を持つ1ページ目に選ばれたのは、崖から海に飛び込む与田の野生児っぷりが発揮された1枚だ。与田は福岡にある陸続きの島で生まれ育ったため、山登りや木登りが得意なのである。イタリアというロケ地も、飛び込めるところがあるという条件有りきで決定したという。Tシャツを脱ぎ捨て、水着になった与田が崖から飛び降りる一連の写真からは、「バッシャーン!」と激しく水しぶきを立てる音が聞こえてくる。エメラルドグリーンの海をスイスイと泳ぐ様子やプカプカと大の字になって浮かぶ与田の姿は、純真無垢そのものだ。

 崖からのダイブと一緒に与田が今回の撮影で希望していたのが、動物との触れ合い。実家で飼っているヤギのごんぞう、愛犬のたろうの存在は、『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)での密着などでファンに広く浸透しているが、この『無口な時間』においても別のヤギ、そしてロバ、ネコ、おまけにハトと次々に動物が登場する。加えて印象的なのが、現地の住民とのフレンドリーなやり取り。学生との自撮りをする与田、なぜか異様に多い“おじさん”とのショットからは、海外で開放的になった彼女の高揚したテンションが伝わってくる。ヤギを連れたおじさんに頭をガシッと掴まれたカットには、その不思議な構図に思わず笑ってしまった。

 172ページの盛りだくさん(さらにおまけブック『おしゃべりな時間』も付録される)な『無口な時間』は、青く雄大なシチリア島を経て、フォトジェニックな建物が並ぶミラノへと、まるで与田と5日間の旅を共にしているような感覚に。その中で時折見せる大人びた表情は、子供のような笑顔を浮かべる与田との対比から色濃く浮き上がってくる。

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