綾瀬はるかの“食べる姿”に感じるノスタルジー……最新写真集『ハルカノイセカイ 02』の魅力を紐解く

綾瀬はるか『ハルカノイセカイ 02』評

綾瀬はるかと「食」

 綾瀬はるかの一番魅力的な瞬間は、「食べる姿かもしれない……」という見立てをもとに制作された写真集『ハルカノイセカイ 』シリーズ。その第2弾『ハルカノイセカイ 02』(講談社)が出版された。前回の台湾に続き、今回向かった先はハワイ。

 タイトルページをめくると、透き通るような青さの海で、ボディボードを楽しむ綾瀬はるかの姿が。ものすごい躍動感とドジっぽさが合わさった絶妙な写真。これだけで、撮影を心から楽しんでいる、綾瀬はるかの性格のよさが伝わってくる。そこから8ページに渡り、グラビア的な明るい水着カットが続く。そしてお待ちかねの「食」カットかと思わせといて、まずは現地のスーパーマーケット「Whole Foods Market Kailua」で食材探し。ここでもおどけて見せる綾瀬はるか。

 最初に食べたのはサラダ。庭でバーベキューをしながらの撮影でプライベート感が満載だ。そのシチュエーションで炭酸水を飲む姿は、15年前に放映されていた『ポカリスエット』のCMを思い出させるほどの爽快感があふれ出る。何年経っても根底にある魅力が変わっていないのだ。だからこそ成立する写真集なのだろう。

 次のきゅうりを食べるカットで気付いたのだが、本書は1冊の写真集に食のシーンがインサートされている。そういう構成だから、同じ衣装が何度か登場したりする。普段だったら気になってしょうがない構成だと思うが、まったく見ていて間延びしない。小学館の『月刊』シリーズのデザインを長年に渡り、務めているアートディレクター・瀬崎幹太の地力なのだろう。

 まず、表情を意識した写真選びが素晴らしい。いわゆる普通の笑顔だけではなく、水が顔にかかったときのしかめっ面、ボールを投げるときの力の入った顔、完全に酔っ払ったときの自然な笑顔。どれを取っても完璧なのである。これを見たあとは、どの写真がなくなっても許せないはずだ。加えてインサートで食べ物単体の写真が入るのが素晴らしい。それらの写真が、食に関する写真集だと再確認させること、そしてロケーションがどういう状況なのかを伝える役割を果たしている。その写真の枚数と差し込むページの塩梅も抜群だ。

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