乃木坂46 山下美月、写真集『忘れられない人』で目指した“理想の女性像” 大胆カットに込められた意思を読む
乃木坂46 山下美月の1st写真集『忘れられない人』が、1月21日の発売から1週間を待たずして、3度目の重版が決定。坂道グループのソロ1st写真集としては、史上最多の初版14万部からスタートした今作の累計発行部数は、すでに17万部に達している。
白石麻衣の2nd写真集『パスポート』や生田絵梨花の2nd写真集『インターミッション』を筆頭に、出す度にヒットを飛ばす乃木坂46の写真集。今後も、3月10日に与田祐希の2nd写真集『無口な時間』、堀未央奈の2nd写真集(タイトル未定)の発売が控えており、出版業界から引く手あまたの状態はまだまだ続くだろう。
メンバーの写真集が出るたびに高まっていくのは、写真集への期待のハードル。白石や生田だけでなく、北野日奈子の1st写真集『空気の色』や卒業メンバーの伊藤万理華『エトランゼ』など、これまで写真集としてクオリティの高い作品が数々生まれてきたからだ。それはメンバーだけでなく、出版社を巻き込んだバトンリレーとも言える。
山下の『忘れられない人』は、そんな膨れ上がった期待を遥かに超えていく。
ファンが写真集に求めるものとは何だろうか。一つに、見たことのない、出会ったことのないメンバーに会いにいくという考え方があるだろう。限りなくプライベートに近い環境の中で撮影される写真の数々は、ページを捲る度に物語を想像させ、その世界により没入していく。それが映像コンテンツにも勝るとも劣らない写真集の最大の魅力だ。
『忘れられない人』と付けられたタイトルの裏にあるテーマは「大恋愛」。憧れのフランス・パリを舞台に、フレンチを一緒に食べ、遊園地を巡り、手漕ぎボートに乗る光景は、まるで山下とデートをしているかのような感覚になる。2016年に3期生として乃木坂46に加入した山下は、20thシングル『シンクロニシティ』で初選抜入り。何事にも全力で向き合う負けず嫌いな山下には努力の人というイメージの一方で、『乃木坂工事中』(テレビ東京系)やドラマ『電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-』(テレビ東京系)から浮かび上がる“小悪魔キャラ”の一面もある。西野七瀬が主演を務めた『電影少女 -VIDEO GIRL AI 2018-』の続編、『電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-』で山下が演じた神尾マイは、男性を誘惑する“悪女”。まるでマイが憑依したかのような妖艶なショットは、写真集の中にも多くある。
キイチゴへのキスや目玉焼きの黄身が口から滴り落ちる姿、黒レースのバニー姿、羽織ったパーカーの隙間から胸の谷間が覗くスッピンのままの歯磨き、極め付けは豪快にザクロを食べるどアップ。指に付いたザクロを舐める艶やさと同時に、山下の鋭い目力が最も発揮されたショットでもある。自身初の水着カットやランジェリーも挑戦的だ。セーヌ川に浮かぶ水上ホテルにあるプールでは“情熱の赤”の紐のビキニを。プールサイドに肘を付けてこちらを見つめるページは、特に攻めた1枚。対して、白の水着で走り回る山下、寝起きのすっぴんカットのランジェリーは柔らかく、ピュアで、気品ある姿。一連の物語性を感じさせる。撮影チームが専属モデルを務める『CanCam』と一緒のチームだったことも、信頼感を高め、いい意味で肩の力を抜けるポイントだったのだろう。