乃木坂46 井上和、『MTV VMAJ』ソロ出演を叶えたグループの新歌姫 繊細かつ力強い無二のボーカル
乃木坂46の井上和が、3月19日にKアリーナ横浜で開催されるMTV主催の音楽授賞式『MTV VMAJ』にLIVE ACTとして出演することが発表された。
『MTV VMAJ』は、全米最大規模の音楽授賞式『MTV Video Music Awards』の日本版として2002年より開催されている音楽アワード。そこで井上は、2023年夏と2024年冬に行われたボカコレTOP100ランキングの上位楽曲を対象に、ユーザー投票と選考により「Daisy Bell Award」に決定した楽曲をソロ歌唱する。歌唱曲についてはまだアナウンスされていないが、番組やライブでも歌声を披露してきた井上のソロ歌唱には大きな期待が集まっている。
『MTV VMAJ』には乃木坂46として出演したことはあるが、メンバーがソロ出演するのは初めてとなる。過去には日向坂46の元メンバー・齊藤京子が、第1回「Daisy Bell Award」受賞作となった「ラブカ?」(柊キライ)をソロ歌唱し、「まらしぃ×NORISTRY×齊藤京子(日向坂46) feat. 鏡音リン」名義では「新人類」をパフォーマンスするなど、圧倒的な歌唱力が話題を呼んだ。音楽ファンが注目する祭典において、乃木坂46から唯一選出されたことは、井上の歌声が認められた証拠とも言える。
29thシングル『Actually...』に収録されている5期生楽曲「絶望の一秒前」で初めてセンターを務めるなど、加入当初から5期生の先頭に立って注目を浴びてきた井上。33rdシングル表題曲「おひとりさま天国」と36thシングル表題曲「チートデイ」とこれまで2作でセンターを経験し、現在はグループの顔のひとりとして活躍している。加入から3年で明らかになったのは、アニメ好きや絵が得意であるということ。それに加えて、『乃木坂スター誕生!』(日本テレビ系)シリーズではグループ屈指の歌声が明らかとなり、ライブなど重要な局面ではソロ歌唱を任されることが多い。
5期生には奥田いろはというもうひとりの歌姫がいるが、井上は奥田の透き通った歌声とは異なる強さを宿した歌声の持ち主だ。言葉にするのであれば、ただ「歌がうまい」という言葉だけでは形容できない、レンジの広さとその安定感。『乃木坂スター誕生!』シリーズでは、AIの「Story」や広瀬香美の「ロマンスの神様」など印象に残ったパフォーマンスはいくつもあったが、中でも筆者の脳裏に強く刻まれているのがDISH//の「猫」を披露したときのことだ。「猫」は音程の低いパートもあり、特に女性ボーカルではピッチを安定させるのが極めて難しい楽曲だが、彼女は的確に音程を捉えただけではなく、パフォーマンスにも感情が込め、その姿に胸を打たれた。歌唱後に中西アルノが「余裕を持ってきれいに歌えることだけが歌じゃないし、そういうところが見えるのが人の心を打つ」と語っていたように、井上の最大の魅力は歌の表現力にある。さらに付け加えるとするならば、デビュー4カ月で披露した工藤静香の「Blue Velvet」はまさに井上の表現力が結実した素晴らしいパフォーマンスだったように思う。多少の荒々しさはあるものの、髪をかきあげる仕草や妖艶な目の表情など、唯一無二のパフォーマンスであり、今後の伸びしろを感じさせるものだった。